sora

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冬休み

「よし!いってきます」

あっという間に時が過ぎ去り、2学期が終わりを迎えようとしていた。
今日は終業式だ

長い長い担任の話を右から左へと聞き流しながら、私は鞄の中のある物に思いを馳せていた

どうしよう…明日から冬休み…このチャンスを逃したら…

思考を強制的に停止させるようにチャイムが鳴った
クラスメイト達は明日から始まる冬休みについて話しながら帰り支度をしていく
先ほど中断された思考がもやもやと宙ぶらりんのまま揺れている

『ねぇねぇ、これからうちらカラオケ寄って帰るけど一緒行く?』
「あー、今日はちょっと…ごめん…」
『どした?具合でも悪い?HR中も上の空だったし』
「いや、そういうわけじゃないんだけど…」
『そっか、具合が悪いんじゃないならいいや!じゃ次会うのは冬休み明けだね!』
「うん、ごめんね。カラオケ楽しんで!また冬休み明けに!」

心配させてしまったかと少しの反省もありつつ、心の奥を見透かされないように下手くそな笑顔で元気良く答えた

いかんいかん今日こそはって決めたじゃない
そう自分に言い聞かせ、下駄箱の前に立って
鞄の中から薄ピンクの手紙を取り出す

我ながらベタだなぁとは思うけど、面と向かって言う勇気は無いし、返事が欲しいわけでもない
ただ、伝えたかっただけなのだ
何度も何度も書き直して何回も渡そうとして断念したから手紙は少し寄れている
それでも前に進みたいから
私は下駄箱をそっと開けた

開けた先はきっとー

12/28/2023, 12:46:30 PM