YUYA

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7/4/2025, 8:49:20 AM

「進歩の影」


私たちは天を突くビルを建てた
だが、気は短くなった

道を広げ、車を早く走らせる
けれど視野は、どこまでも狭く

金を払い、物を買う
けれど心には何も残らない

大きな家に住みながら
家族とは、小さな声でしか語れない

便利さに囲まれているのに
「時間がない」と呟いてばかり

専門家が増えても
解けない謎は、さらに積もっていく

薬の数は日々増すけれど
健やかな笑顔は、減ってゆく

――進んだのは技術だけか
――豊かになったのは、表面だけか

私たちは何を得て
そして何を、失ったのだろう

6/29/2025, 12:58:00 AM

土の奥底
目を閉じて
光を夢見ていた

長い長い闇の時を抜け
震える羽を広げ
夏の空へと歌を放つ

命は短く
叫びは空に散り
ただ響き続ける

いつかまた
大地へ帰る
儚くも確かな
命の旅路

6/27/2025, 1:11:12 PM

「見上げた者だけが」


空の青さは
誰かの言葉じゃ伝わらない

写真にも映らない
比喩にも乗りきらない

ただ、見上げた者だけが
知っている

あの果てのない静けさを
涙のような光の揺らぎを

俯いていては 気づけなかった
風が頬を撫でるその瞬間に
心がふっと ほどけていくことを

空はいつも そこにあった
けれど、見上げた日から
それは「答え」になった

6/26/2025, 2:16:38 AM

「届かない手紙」


君のために選んだ マグカップ
少し欠けたけれど それでも温かかった

あの日の「またね」が最後だなんて
思わなかったから 笑って手を振った

夜が長くなるたびに
胸の奥に灯る 小さな明かりがある

もう届かないと知っているのに
それでも 君を想ってしまう

何気ない言葉、何気ない仕草
どれもが 宝石みたいに
今でも輝いているのに

触れられない、届かない
だけど消えない 
それがたぶん――
小さな愛の、最後のかたち

6/25/2025, 7:25:27 AM

「空はこんなにも」


空はこんなにも 広くて
手を伸ばしても 届かないのに
なぜか 心の奥にすっぽりと
入り込んでくるときがある

悔しくて 泣いた日も
誰にも言えず うつむいた夜も
空は ただそこにあって
何も言わず 見守っていた

誰かと比べて
自分を責めた日も
青くて深くて
それでも あたたかい

空はこんなにも 自由なのに
ぼくはまだ 小さな檻の中
でも 見上げることだけはできる
夢を 胸に残したままで

空はこんなにも
ぼくを許してくれる

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