あまり

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7/19/2025, 2:24:13 AM

セルビア語でMerak(メラク)とは「日常の些細な喜びから幸せを感じること」を意味するそうです。
思えば私の日常はこのメラクで満たされている気もしています。例えば、皆さんがここに綴って下さる言葉のひとつ、私に送って下さる♡のひとつ。それは昨日と今日、明日ではまた違った顔をして訪れるものですから、毎日がSpecial daysということでお題回収でございます。つまらない文章で申し訳ない。


『Special day』

7/17/2025, 11:13:46 PM

枝葉の格子窓を潜って降り立った光はどれも
角がとれて丸いかたち
スニーカーの先ですくい上げたひと粒
急な目眩にたたらを踏んで
誤魔化すように姿勢を正した
冷蔵庫を開けたときのような
陸橋の下や木陰の空気の冷たさは
何処か甘い香りがする

誰もいない所で木が揺れても
音はしないんだって
話してくれたのは誰だっけ

知らずに唇から歌がこぼれて
風が梢を鳴らしていく
神社の境内から響く風鈴の音
全てが無音になる空想

樹々のトンネルを抜ければ
削除していた蝉の声がかえってきて
現実は炎天下
笑い声を聞いた気がして
振り返れば木立が手を振る正午


『揺れる木陰』

7/16/2025, 10:24:55 PM

病にかかって
何もできないことを言い訳に
心中をたくらんだ窓際の観葉植物達は
ますますたくましく覆い繁り
そうだわ
私ズボラだから強い子達ばかり集めていたわ

水をくみに起き上がる今日
乾き切った土が水を吸って
しゅわしゅわと音を立てる

ねえ、あと幾日まてば
願いは叶っただろうか?

しゅっ しゅっ と霧吹きを
浴びせかけながら
白昼に見た夢を思う
病の時に見る夢なんて
ロクなものではないね


『真昼の夢』

12/15/2024, 11:36:26 AM

雪を待つ
美しくて 煩わしい
降って欲しいような 欲しくないような
大人になると色々むつかしい
嬉しい楽しいだけではいけないのに
みんなそれぞれ心の中の子供をずっと
抱えて行かなければならないから
色々複雑になってゆくのだ

雨のように涙を隠してはくれないけれど
まるごと埋葬されるつもりで
柔らかくはない雪の上に身をよこたえて
赤灰色の空をながめた
やがて体温でとかされた雪が服に染みて
熱をうばわれた肌が痛んでも
少し楽しいような 悲しいような
美しくて 煩わしい
雪を待つ


『雪を待つ』

9/26/2024, 12:52:48 PM

秋がまぶしいね
西陽の射す街路に風が吹けば
赤や黄色 とりどりの葉が
扇をひるがえすように空を舞いながら
陽射しをあちこちへ照り返している
ツヤツヤとはしないオンコの実の優しい色と甘い香り
烏が胡桃を拾って来ては道路にほうっている
リスたちが忙しなく走りまわり
時々路上で干物になっている
お腹を膨らませた鮭たちが
ぼろぼろになりながら川を昇っている
いのちが駆け足でまわって まわって
誰もが実りを蓄えることにも
差しだすことにも余念がない
少しずつ厚着になって丸くなっていく君のシルエット
じんわりと冷えていく風がオンコ色に染めた君の頬
ひらひらとふりつもる落葉は桜と同じ美しさだ
冬が来るよ
指先から紅葉していく君の手のひらが差し出され
金色の光をひとひら照り返す
秋がまぶしいね


『秋🍁』

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