謎い物語の語り手

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11/7/2024, 9:54:18 AM

柔らかい雨


人魚の女神が慈悲の涙を流したら、世界に雨が、人々に幸福が降り注ぐらしい。

そして再び幻の湖に水が沸き上がれば救われる。

ずっと、その言い伝えを信じていた。
いつか荒んで貧しい、この世界が明るくなると。

女神様、いつ私達に慈悲をくださいますか。

私はもう、何度も運命と戦いました。
彼らもずっと、希望を待ち望んでいます。

我ら聖騎士団に、剣を握る腕はもうないのです。

一筋の光が射し込む廃神殿の真ん中で祈る。

壊れた女神像は、もう私達に救いなどないことを示唆しているのかもしれない。

「どうすれば…良かったのでしょうね」

どうしようもなくて、女神像を抱きしめ泣いていた。

長い時間が経った。眠ってしまったのか。

見れば、女神像の目が蒼く光っている。
私の涙が女神像の目に掛かり、こぼれ落ち、泣いているように見えていた。

柔らかい雨が降り注ぎ、神殿は湖のように潤んでいた。

11/6/2024, 9:21:51 AM

一筋の光


ネタ切れだ。
もう何も思い付かない。
頭の中の想像力の海は真っ暗だ。
一筋の光すら射し込んじゃいない。

11/3/2024, 10:04:21 AM

眠りにつく前に


神代の昔、命を賜った二神は大地と生命を生んだ。

そうして世界を造ったが、女神はある日火傷を負い死んでしまったそうだ。

神話というものは実に単純で、人間どものその時の価値観と、支配の為に創られる。

「君が眠りにつく前に、もしもの話をしようか」

幾星霜を越えたいつの時代か。

死は穢れではなくなり、隠れた魂は生あるものから見えず、そしてそれは救済であるとしたら。

もしも今の生命が死んでも、別の生命に生まれることが信じられているなら。

私達は木を挟んで話していた。

「だから、きっと私達はまた逢えるよ。

今は、安心して眠ってくれ。辛い世から隠れてくれ。」

眠りにつく前の最期の君は笑っていた。

私は涙が止まらないというのに。

「なら、私は人間を眠りに導くわ。貴男がいつか、別の生として彼らを呼び起こせるようになるまで。」

そして、それは神をも支配する。

死が二人を別つとも、何度だって巡り逢おう。

11/2/2024, 2:43:03 AM

永遠に


やっと復讐が終わった。
私にとっては酷く、酷く辛い選択だったよ。

でも、我が恋人を殺めた罪は重かった。
兄さん、そうだろ。何故彼女を魔女だなんて言った。

貴方が崇高で正しい司祭だったとしても、彼女を魔女と決めつけて裁判にかけたあなたは正義じゃない。

あんなに愛おしく、温かく笑う彼女が魔女な訳がない。
そう思ってた。だから、驚いたんだ。

彼女が本当に魔女だったこと。忌み嫌われる存在だと。
でもな、兄さん、あなたは一つ間違っていた。

彼女の魔術は優しかった。
一人調査して、彼女が白魔女だった事に気付いたんだ。

魔女がみんな邪悪だなんて、よく言ったものだよ。

ああ兄さん、私達は仲の良い兄弟と言われていたな。

だからこんな結末になるなんて思いもしなかった。

この世は諸行無常。ずっと続くものなどない。

それでも、兄さん。そして、我が恋人よ。

愛しているよ。永遠に。

11/1/2024, 8:13:38 AM

理想郷


彼らは古来より歩き続けている。

あるはずもない理想郷を目指して。

何かを得れば何かは犠牲になってしまう。

そんなことを知り得ながら、学ぶこともせず。

人間よ。今私の体はどうなっているのだろう?

君たちの望む理想郷か。

それともこのまま死に行く未来か。

月は私を見て大いに嘆いていた。

これが我が護るあなたの末路なのか、と。

彗星たちは私を見て笑う。

生命とは如何に愚かであり、恩知らずなのか、と。

気付いた時にはもう遅いだろう。

暑くて悲しくて仕方ないよ。愚かな生命たちよ。

代償を払うのは私だ。君らでは無いのだ。

せめて、美しい宇宙を、我が家を返してくれないか。

私の理想郷を。

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