謎い物語の語り手

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理想郷


彼らは古来より歩き続けている。

あるはずもない理想郷を目指して。

何かを得れば何かは犠牲になってしまう。

そんなことを知り得ながら、学ぶこともせず。

人間よ。今私の体はどうなっているのだろう?

君たちの望む理想郷か。

それともこのまま死に行く未来か。

月は私を見て大いに嘆いていた。

これが我が護るあなたの末路なのか、と。

彗星たちは私を見て笑う。

生命とは如何に愚かであり、恩知らずなのか、と。

気付いた時にはもう遅いだろう。

暑くて悲しくて仕方ないよ。愚かな生命たちよ。

代償を払うのは私だ。君らでは無いのだ。

せめて、美しい宇宙を、我が家を返してくれないか。

私の理想郷を。

11/1/2024, 8:13:38 AM