モクレン

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5/20/2025, 1:15:40 PM

『空に溶ける』

怒りも悲しみも
苦しさも

全部全部
空に溶けてしまえばいい

溶けたものが
雲になって
雨となって
山や海や川に流れてしまえばいい

そうして
気が済むまで空を見たら
また前を向いてみよう

5/19/2025, 12:29:33 PM

『どうしても…』

ヤバい。
腹が痛くなってきた。
牛乳一気飲みなんてするんじゃなかった。

授業が終わるまであと2分。
耐えろ俺。
あともう少し。
楽しいことを考えよう。

あと1分。
1分てこんなに長かったっけ?
先生頼むから早く終わらせてくれ。

鐘が鳴る。
よし、やった!やっと終わる!
と思ったのに…

のんびりした、ひやかすような声がした。
「先生ー、結婚するって本当ですかー?」

あ、そうなんだ?知らなかった。
いやいや、てか今?
今なの!?その質問!
どうしても今じゃなきゃダメだった!?

俺は!
どうしても!
今じゃなきゃダメなんだよーーー!



なんとか耐えきった俺。
自分で自分を誉めて上げたい。











5/18/2025, 12:29:03 PM

『まって』

自転車で15分の距離。
年中さんの息子は走って帰りたいという。

えぇ…走りたいの?

自転車で15分ということは、歩くとだいたい30分。
しかも途中でアリとか見始めたりするよね?
ということはいったい時間はどれだけかかるの?

ちょっとまって。この後も予定があるのよ。
なるべく早く帰りたいの。

でもまって。
ここでダメと言ったら、私は子どもの主体性を潰すことになるのか?

答えを出せずに固まる私をよそに、息子はおかまいなしに自分の荷物を自転車のカゴに雑に放り込み、一目散に駆け出す。

あっ!まって。本当にまって。
この道は、少ないとはいえ車も通るのよ。
慌てて、雑に放り込まれた荷物たちを落ちないように、これまた雑に整えながら叫ぶ。

交差点止まって!お願いまって!

あぁ止まった。良かった、今のうちに追い付ける。
と思うのもつかの間、本人なりの左右確認をして、再び走り出す。

みるみるうちに遠くなる息子の背中。
5歳児の足は思いの外早い。
全速力で自転車をこぎ出す。

「まって」という言葉、100万回くらい言っていたような気がするあの頃。


5/17/2025, 12:24:52 PM

『まだ知らない世界』

知らない世界に飛び込むのは怖い
知っている世界は安心

でも、かといって
今いる世界が本当に安全かはわからない

冷たい水にいるカエルは、温度を徐々に上げると変化に気付かず最後は死んでしまうという

もしかしたら今いる、知ってるはずの世界も
変わっているのかもしれない

新しい世界が安全かはわからない
その世界に入ってみなければ
危険かどうかもわからない

そしてその世界に入ったなら
ちょっと熱いと感じたとしても
慣れることができそうな熱さかどうか
試してみると良い

すぐにやめてしまわずに
体力のあるうちに

でも明らかにおかしいと感じる世界なら
それはやめたほうが良い
君子危うきに近寄らず

5/16/2025, 2:27:18 PM

『手放す勇気』

手放す勇気、大事です。

割れてしまったお皿。
動かなくなった冷蔵庫。
カビの生えてしまったパン。
穴の空いた靴下。などなど。

これはもう簡単に捨てられる。だってもう使えないし食べられないし仕方ないから。
でも、ここからは捨てづらいけど手放すべきもの。

端がちょっと欠けているお皿。
―危ないし。
古くて冷えかたが微妙な、でも動いてる冷蔵庫。
―電気代高いはず。最近のは節電多い。
賞味期限切れだけど、見た目大丈夫そうな食品。
―大丈夫なうちにとっとと食べましょう。
くたびれてきたけど着られる下着。
―なんならもうあえて破る?そして雑巾かな。

もしくは、
なぜそれを選んだのか、今となっては自分でも謎な大きすぎるお皿。
 ―売ろうか。
一、二回使ったらすぐに飽きて使わなくなったホットサンドメーカー。
 ―売ろうか。
賞味期限が超長い、苦手な味のいただきものの高級缶詰。
 ―売ろうか。いや売れるのか?どなたか喜ぶ方に差し上げましょうか。
体型が変わってもう着られないのに、痩せたら着るかもと未練がましく取ってある昔の服。
 ―諦めましょう。

諦められたらもう捨ててる。
ああ、手放す勇気が欲しい。



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