モクレン

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4/3/2025, 12:37:48 PM

『君と』

付き合っていたときから
君との未来は想像できなかったよ
お互いに若くて
わがままで
傷つけて
相手を振り回してばかりだった

最後はお互いに疲れはててしまったね
君は私に嫌気がさし
私も君から逃げ出した

若気の至りといってしまえば
そうなのかもしれない
でも今思う
きっと君もそうだろう

あの時
君と別れて本当に良かった
今の私があるのは君のおかげです
ありがとう
 

4/2/2025, 12:28:55 PM

昔、娘がまだ2歳か3歳のとき。
どこに出掛けたのか、もう覚えてはいないけれど、娘と二人で家に帰る電車の中。

車窓から空を見上げると、今にも雨粒が落ちてきそうな低い雲。
しまった。傘を持っていない。
洗濯物も干しっぱなしだ。
家に着くまでに降ったら嫌だなぁ。

急いた気持ちをごまかすように、膝の上の娘に話しかけた。
「○○ちゃん、おうちに着くまで雨が降らないように、○○ちゃんからもお空にお願いしてー。」
軽い気持ちだった。

すると娘が突然、空に向かって叫んだ。
「お空さーん!」
あ、これはまずい。
予想外のボリューム。
アワアワする私をよそに、娘は続ける。
「泣かないでねー!○○ちゃんがいるから大丈夫だよー!」

静まり返った電車の中、慌ててももう後の祭り。
私のお願いを聞いてくれただけの娘。
叱れるはずもない。悪いのは私。
周りの人が微笑ましい顔をしてくれたのがせめてもの救いだった。

それにしても、空の心配をした娘に比べ、私はなんて…、なんて自分勝手だったんだ。
自分を恥じた、今となっては良い思い出。

4/1/2025, 12:36:47 PM

扉の向こうの世界をあれこれ想像しているうちに、ついに部屋の準備が整ったようだった。

ぼくはひとつ目の扉を開け、部屋に入った。
暗いけど、温かくてふわふわする。
気が付くと、ぼくの真ん中から紐が出ていて、部屋のどこかと繋がっているようだった。

気持ち良い。
ゆらめきながら、ずっとうとうとしていると、時々何かが聞こえるようになってきた。

はっきりとは聞こえないけれど、優しい音。高い音、低い音。いくつかの種類がある。

なんだか部屋が小さくなってきた。
ちがう。ぼくが大きくなっているんだ。
ただの光だったはずなのに、はっきりと形になってきた。目の前にあるものを口に入れてみる。
後から知るのだけど、それは指というものだった。
初めての感覚。
次第に、思うように動けなくなってきた。
思い切り体のあちこちを伸ばしてみる。

それもできなくなってきて、窮屈で仕方がない。
せまい。早くここから出たい。

ふたつ目の扉が開き始めた。

いよいよだ。
外の世界はどんなだろう?
怖いことや嫌なことがたくさんあって、
嬉しいことや、楽しいこともたくさんあるらしいって、前に会った水色の光が言っていた。
また会えるかな。
突然眩しくなった。
驚いて、ぼくは思い切り声をあげた。

世界に慣れてきて、ぼくは声をあげることをやめた。
すると部屋の中でいつも聞いてた優しい音が大きくはっきり聞こえた。

「やっと会えたね。おかえりなさい。そして、はじめまして。赤ちゃん。」

はじめまして。ぼくの家族。

4/1/2025, 5:47:18 AM

ふわふわとまあるい光が浮いている。
白や水色、ピンクに黄色、淡い色を混ぜたような優しい色の光。
光の中にいるぼくは思った。

「ああ、帰ってきちゃった。」

となりを見ると、同じような光がいた。
ぼくよりほんの少し赤が強い光。
その赤い光が言った。

「オレもさっき戻ってきたんだ。おまえも?」
ぼくは答える。
「そう。何か忘れたような気がしてさ。」
「そっか。オレは、今もう一度同じ部屋に戻ろうとしたんだけど、まだダメだったんだ。」
「なんで?」
「部屋には扉が2つあるだろう?ひとつ目はオレ達が入るための扉、ふたつ目は大きくなって出るための扉。一度ここに戻ってきちゃうと、その扉が壊れて、直すのと部屋を整えるのに少し時間がかかるらしいんだ。」
「そうなんだ。じゃあぼくもまだ戻れないんだね。」
「たぶんな。でもオレは早く向こうの世界に行きたいから、もう違う部屋を探すよ。じゃあな。」
そう言って、赤い光はさっさとどこかにいってしまった。

その時、透き通った水色の光がふわふわと近付いてきた。
「こんにちは。今の赤い光、ずいぶんせっかちね。」
ぼくは答える。
「こんにちは。そうみたいだね。ところできみも戻ってきたの?」
水色の光が答える。
「そうなの。戻ってからしばらくたつわ。もうこれで三度目。なぜか長く部屋にいられないのよね。」
「そうなんだ。きみは他の部屋を探さないの?」
「うーん、その部屋が良いのだけど…。だんだんひとつ目の扉が開きづらくなってるの。」
水色の光は少し考えてから、続けて言った。
「やっぱり、どうしてもあの部屋に行きたいから、もう少し頑張ってみるわ。それでダメだったら違う方法を考えてみる。あなたは?」

そう聞かれてぼくは考える。
ぼく?ぼくは、、、 
そうだ、ぼくは忘れ物を取りに来たんだった。もどらなくちゃ。でも、そうか。すぐにはもどれないんだっけ。
「ぼくは、さっきの部屋が整うまでここでのんびり待つよ。」
そう言うと、水色の光が答える。
「そう。ごゆっくりね。」
「うん。ああ、そうだ。ふたつ目の扉の向こうには何があるのか、きみは知ってる?」
「さあ、知らないわ。でも噂では、怖いことや嫌なことがたくさんあるんだって。だから、部屋に行くのを怖がってやめてしまう光もいるくらい。でも、それ以上に、嬉しいことや楽しいことがたくさんあるとも聞くわね。」
「そうなんだ。嫌なことと楽しいこと両方か…。ちょっと怖いけど、面白そう。どんな世界かぼくも見てみたいな。」
「そうね。私も。」

話が途切れた。
一瞬の沈黙のあと、水色の光が言う。
「じゃあ、私もそろそろ行くね。私、今度こそあの部屋に入る。だから、扉の向こうでまた会えたら嬉しいわ。」
「うん。楽しい世界だといいね。またね。」
「ええ、またね。」

残された光は、ワクワクしてきていた。
部屋が整うまで、向こうの世界を想像しながら待ってみよう。





3/30/2025, 11:23:00 AM

暖かい日が増え
日向がとても気持ちいい

春の風とともに
芽吹いた花木の香り
桜の花びら

深呼吸をすると
目が痒い
鼻も痒い
なんなら喉もおかしい

花粉なのか
風邪なのかも?
わからない
どちらでもいい

春の風とともに
早く過ぎて
花粉の季節




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