日常/
目が覚め食事をし眠くなったら眠る
日常とはただそれだけのことである
そこに色を足すか足さないかは
自分で決めていいもので
めんどくさいならやめてもいいし
性に合うなら取り込んでもいい
自分に合った日常というものを
常に追い求めている日々、
それがわたしの日常である
子供の頃は/
みんなで食べる給食がなにより美味しかったよ
何もなくても楽しく遊べてたよ
席替えが宝くじのようだったよ
休んだ日に見るテレビは最高だったよ
勉強の意味がわからなかったよ
ジャンケンが全てだったよ
500円が大金だったよ
大人の目は気にならなかったよ
チャイムの音が帰る合図だったよ
子供の頃は不思議がいっぱいあったよ
大人になるとだんだんと不思議が
無くなっていって分かった気になってくるんだ
大人になると得るものもあるけれど
失うものも多い気がして
僕はそれがどうも嫌な感じで
子供のように柔軟で純粋な心を探求したり
不思議を自ら探しにいくような
不思議な大人になったよ
あなたがいたから/
あなたがいたから
わたしの心は揺れ動いているのです
時計の針を動かすのは怖いです
だからわたしは立ち止まっていました
息を潜めて誰にも見つからないように
孤独を求め孤独に泣き
朝を恐れ夜に怯えていました
まだ少し怖いけれど
あなたが隣にいてくれるから
とりあえず息をしてみようと思います
あなたがいるから
朝露に濡れた木々が美しく見えます
あなたがいるから
ひとりの夜には寂しさが堪えます
あなたがいるから
この胸がトクトクと高鳴ります
あなたがいなくなったら
わたしはどうすればいいのでしょう
あなたがいたから
この世にあなたがいない以上に
苦しいことはないと知ってしまいました
あなたがいなければ
わたしは早々に小さく小さく
静かに消えていたと思います
あなたに繋いでもらったこの命
頭ではわかっていますが
わたしには力がありません
気力が滅法無いのです
変えなくては、頑張らねば、
そんなふうに思えるのもあなたがいるからです
あなたがいるから
わたしの毎日はぐるぐると目まぐるしく回り
夢をみるように日々が美しく見え
なにより、苦しむこともあれど幸せであります
灯火が消えるとき
あなたがいたから幸せでした
心からそう思える、と
それだけはここに書き記しておきます
あなたがいたから
わたしのもやが少しずつ晴れました
これからもずっとあなたの隣にいたい
わたしの隣にはあなたがいてほしい
そんな願いを心に小さく秘め
今日もあなたと生きていきます
好きな色/
想いがこもった色は
わたしの目に最も美しく映る
花嫁さんの緩んだピンクの頬に
覚悟をまとった紅の赤
責任を携えた上がり眉と黒のタキシード
花嫁さんを見つめる愛情と高揚の目の輝き
いかにも勤勉そうなサラリーマンの
首元にある奥さまの趣味であろうネクタイの色
オタクとよばれる彼らが
推しをいかに大切に思っているか
表すように眩く光るペンライトの色
ペットとお揃いのくるくるの毛を
風になびかせながら
散歩をする女性の茶色い髪
愛は色をさらに輝かせる
街を見渡すと愛を感じる色が
いたるところにきらきらと光る
今日もわたしは
好きな色を探して旅をする
あなたがいたから/
あなたがいたから、なんて
そんなか弱い女じゃないわ
わたしはひとりで生きてきた
荒波を掻き分け懸命にもがいてきた
強くあろうと努力した
甘えるなんてごめんだわ
甘えられるのはもっと嫌
そんなときあなたに出会ってしまった
弱さを繕うことなく
あるがままで生きるあなたに
昔なら見向きもしなかったわ
わたしも歳かしらね
嘘がつけず素直で正直で
いつも頭をかかえているあなたを
かわいいと思ってしまったの
それからあなたは犬のように
わたしに懐いてきたわね
飼い主と犬のような関係
だけど飼われていたのはわたしの方みたい
ほんと、罪な人。
あなたがいたから
わたしはただの女になってしまった
またあなたは頭をかかえ
だらりともたげている
子犬のような目でわたしを見つめて
わたしを女にしないで
気持ちとはうらはらに
一瞬でその瞳に吸い込まれてしまう
ほんと、困ってしまうわ
どうしようもなく
かわいくて、愛しい
あなたの為なら何だって
なんて、そんなことただの女が考えることね
わたしは強い女で生きていきたいの
わたしはあなたを愛しています
これからもずっと、
愛してさしあげますわ
相合傘/
雨夜に並んだ傘ふたつ
ほろ酔いの君は傘を閉じ
僕の傘に潜り込む
君は傘を僕の腕にかけ
隣でいたずらに笑う
僕の意識は雨音に消され
君の声しか届かない
君は楽しげに
聞いてる?と
僕の頬を指でつんと突き
雨に潤んだ瞳でこちらを見つめる
僕は君を少しばかり強引にたぐり寄せ
戸惑う唇に口づけをした
落下/
落下は日本語で下に落ちること。
落上は中国語で
水や粉が降り掛かるという意味らしい。
では落横は?
横に落ちるという概念は無いらしく
そんな言葉は存在しない。
意味を持たせるとしたらなんだろう。
クラスで横に座る君の笑顔に
恋に落ちること、
オーディションで横に座る人が落ちること、
漫才で本来の落とし所より
少しずれた落ちをつけること、
人生のどん底に落とされた人らが
疲れ果て最後に行き着く横丁、
こんな意味のないくだらないことを
考える僕の横で君は微笑んでくれている。
あぁやっぱり
君の横にいると落ち着くなぁ