『空はこんなにも』
君と別れた夜。
友達を連れ回し、いつものプレイリストを垂れ流す。
どの道も君と通った道で、
それが嫌でわざわざ別の道を検索した。
あの日降りたのはなんの光もない山道で
道路の中に寝転がり君の煙ってたタバコをふかした。
君とよく行ったドライブスポットで
初めて来た時に世を明かしたあのベンチで
気になるあの子と声を交わした。
流星群が見えるはずだった空を眺めまたふかした。
『好き、嫌い』
近くにいる時には悪いとこなんて見えない。
大好きな君が僕の隣にいて、
時計の針も嫉妬して早く進むただ幸せな空間。
なのに離れたら嫌なところばかり見えてしまう。
良いところもいっぱいあるはずなのに、、
だけど嫌いだから別れるではなく、
離れていると嫌いになってしまいそうで
早く会いたくなる。
『ひとひら』
君の手を離そう、って。
次に進むんだ、って。
ずっとずっと覚悟していたはずなのに
いざ君に相対すると、
口から出るその言葉よりも先に
目から雫がこぼれ落ちる。
君といても僕にこれ以上の成長はなくて、
それ以上の成長を見せてくれそうな人が目前にいて、
なのにどうしてこうもその一言が口に出せないんだ。
その言葉を口にすると、
季節を2周はした僕らの関係も今日で終わりで
それが出来なければいつも通りの日常がある。
たった一言なのに、
重すぎるよ、
僕には言えないよ、
ずっと一緒に時間を過ごしてきたはずなのに
ヒトヒラの差もないことがきっかけで
二人の人生は大きく転換することになる。
僕には荷が重いよ、
こんな僕でごめんなさい。
こんな僕でも好きでいてくれてありがとう。
もう少しだけ一緒に居させてください。
『君と』
どこに行きたいなんてない。
何がしたいなんてない。
ただ君と一緒に過ごすことができれば、
それで構わない。
はじめは僕もそう思っていた。
塩胡椒の味しかしない鶏胸肉を酒の肴に
テレビもつけず寝るまで話し込む夜も、
目を覚ますと隣に君がいて
顔を覗き込んではまた静かに目を瞑る朝も、
そんな日常が幸せだった。
いつのまにか電話をするのも面倒になり、
何かと付けて「生産性が」と口にするようになった。
何が正解で何が間違いかは分からないけれど、
生産性が皆無に等しい日常の中にも
小さな幸せを見出せる相手こそが
きっと愛してるということなのだろう。
もしかしたら、君ではないのかもしれない、
正解のない人生を後悔しないように生きるためには
今君の手を離さず、
ただひたすらこの日常を流しているだけでは
いけないのかもしれない。
新たな旅に踏み出すたった一歩の勇気が
僕にはまだ沸いてこない。
好きが何か分からなくなった時、
自分が相手のことをリスペクトしているかを
考えてみるといい。
相手と話す中で「さすが」って自然と口にしたり、
いつのまにか人に恋人の自慢をしていたり、
逆にそれがなければそういうことなのだろう。