t「幸せとは」
「今日も君といれて幸せだよ」
「幸せってなんなの?」
「え?」
「貴方はいつも幸せという言葉を口にするけど、幸せって毎日自分といて感じるものなの?」
「そうだね…君から見た自分はいつもどんな表情をしてる?」
「え?…笑ってる事が多いかな」
「それならやっぱり自分は君といて幸せだよ」
「よくわからない…」
「君といて、自分がどれだけ笑顔でいるか、君が今証明してくれた。自然に笑えている、それが幸せだと自分は思うかな」
t「新年」
ピコン
『あけおめことよろ』
君からの短いメッセージ。
新年のうたい文句のような言葉でも
君からこの言葉が届くだけで
去年とは違う君と
自分の今年が始まる。
t「良いお年を」
今年一年お世話になりました。来年もよろしくお願いします。
なんて言葉をとりあえず並べてみる。
最後に良いお年をとぺこりと顔文字なり絵文字なり付けて社交辞令を済ませる。
良いお年を、その年を良くするか悪くするかなんて自分次第!他人に言われんでも自分で毎年最高の一年にするぜ!
それぐらいの気合いで!みんな!良いお年を!にしよう!
t「みかん」
「蜜柑の季節やんな〜」
『そうだねぇ』
窓際に立ち外を眺める君が空返事をする。でもそれは仕方ない。だって今日は珍しく外に雪が積もっているから。
たまに降る事があっても、積もる事な少ない。物珍しい光景に釘付けになってる君は、窓の側から動けずにいる。その姿を見て思わず笑みがこぼれてしまう。
「外、行こうか?」
『!?』
自分の言葉にバッと振り返る君。その表情が愛おしくてまた笑いがこぼれた。外に行く準備をして、ドアノブに手を掛けた瞬間君はいの一番に飛び出す。
「可愛いな〜」
艶やかな黒色に雪の結晶が乗っかり、妖精のようにふわりふわりと雪を踏み潰す感触を味わっている。
「寒いから遠く行かんといてな」
そう声を掛けその場にしゃがみ込んだ。
帰ったら君の好きなこたつで蜜柑でも食べてぬくぬくしようかなと思った。
t「手ぶくろ」
ある日君からの連絡で君の家を訪れた。
玄関に入るとポンと君の家に忘れた手ぶくろを頭の上に置かれる。
「また忘れたの?わすれんぼさん」
「ごめん、取りに戻ろうと思ったんだけど時間も遅かったから…」
「別に気を遣わなくていいのに」
「次からは気をつけます…」
「そうだね、次は時間を気にしなくていいから取りに戻ってきて」
手ぶくろを忘れてしまって冷えきった自分の両手を
家にいた君の暖かい両手で包み込むように握られる
「こんなに冷えきって、心配になるよ…」
…わざと忘れ物をして君と会う口実にしたなんて、優しい瞳を浮かべる君には口が裂けても言えない。