t「手ぶくろ」
ある日君からの連絡で君の家を訪れた。
玄関に入るとポンと君の家に忘れた手ぶくろを頭の上に置かれる。
「また忘れたの?わすれんぼさん」
「ごめん、取りに戻ろうと思ったんだけど時間も遅かったから…」
「別に気を遣わなくていいのに」
「次からは気をつけます…」
「そうだね、次は時間を気にしなくていいから取りに戻ってきて」
手ぶくろを忘れてしまって冷えきった自分の両手を
家にいた君の暖かい両手で包み込むように握られる
「こんなに冷えきって、心配になるよ…」
…わざと忘れ物をして君と会う口実にしたなんて、優しい瞳を浮かべる君には口が裂けても言えない。
12/28/2024, 3:55:56 AM