t「みかん」
「蜜柑の季節やんな〜」
『そうだねぇ』
窓際に立ち外を眺める君が空返事をする。でもそれは仕方ない。だって今日は珍しく外に雪が積もっているから。
たまに降る事があっても、積もる事な少ない。物珍しい光景に釘付けになってる君は、窓の側から動けずにいる。その姿を見て思わず笑みがこぼれてしまう。
「外、行こうか?」
『!?』
自分の言葉にバッと振り返る君。その表情が愛おしくてまた笑いがこぼれた。外に行く準備をして、ドアノブに手を掛けた瞬間君はいの一番に飛び出す。
「可愛いな〜」
艶やかな黒色に雪の結晶が乗っかり、妖精のようにふわりふわりと雪を踏み潰す感触を味わっている。
「寒いから遠く行かんといてな」
そう声を掛けその場にしゃがみ込んだ。
帰ったら君の好きなこたつで蜜柑でも食べてぬくぬくしようかなと思った。
12/30/2024, 9:01:43 AM