コハク

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6/24/2023, 10:00:02 AM

子供の頃

僕は子どもの頃、君の後を追い掛けてそれになった気分になっていた。
君と同じ事をしていれば何者でもない僕でも名のある者になれるかもと思ってたから。
でもそれは子どもの頃の僕がみたかった夢に過ぎなかった…成長するにつれて君と僕の違いは誰もがわかるようになり、それが僕をより現実として自覚させた。
君の後を追い掛けていたあの時がどんなに惨めで幸せか子ども頃はわからなかった。

6/12/2023, 11:08:50 PM

好き嫌い

僕らは恋人同士だ。
「好きだ」短い言葉で告白されて僕らは付き合った。

「あの人は?」

お付き合いしてから僕らの関係は大きく変わった。

「どうでもいい」

でも僕への君の態度が変わらなくて周りに心配された事もあった。

「彼は?」

最初は悩んだけど、ある時に気づいた。僕だけが知っている僕への特別な事。

「奴はいつか俺が倒す」

周りに興味関心が強いほうじゃない君だけど、

「倒すって…そしたら彼女は」

いざ君に周りの人の事を聞いてみると倒すとか、どうでもいいばかりなのに

「どうでもいい」

「…僕は?」

「………」

僕の事を聞けば

「嫌いだ」

はっきりと言葉をぶつけてくれる。
別にどう思うかを聞いてるだけで好きか嫌いかなんて聞いてないんだけど、君らいしなとちょっと心の中で笑ってしまう。
でも何だかんだちょっとしてからいつも君から言う。

「好きに決まってんだろう、ふざけんな」

僕への嫌いの言葉は好きの裏返し。
強気で勝気、僕のライバルで親友で恋人の君。

「僕も好きだよ」

そう言うと少し満足そうに笑う、君の顔も僕だけが知ってる特別な事。






6/5/2023, 9:58:10 PM

誰にも言えない秘密
僕らの関係を知った時、世間はどう思うのだろうか。
祝福?批判?それとも案外反応はない?
世間では王子様とお姫様が恋をして結婚するのが理想の形なんだと思う。
でも僕らは…。
どちらか言うわけでもなく、お互いの感情なんて確認しないで置き去りにして、ただ一夜を同じベッドで過ごしている。
同じ家に住んでるわけではない、のに連絡がくればどちらかの家を訪れ、朝何も無かったように朝食を食べて情報交換をして職場へと向かう。
いつか恋人が出来れば終わるだろうと思ったこの関係は、恋人という終止符が打たれるとこと無くずっと続いている。
相手の感情がわからない以上、これから関係が変わることはない。
僕の感情だって僕自身理解していない。きっと理解した所で何も変わらないだろうから。今はただ君との名前のない、誰にも言えない二人の関係を楽しむだけだ。

6/3/2023, 8:38:40 PM

失恋

今日僕はきみに失恋をする。

一目見てわかった。きみは人付き合いが苦手だ。
それはきみの生まれ育った環境もあるだろうし、きみの内気な性格なのもあるだろう。
でもきみはとても真っ直ぐに生きている。その生き方はとても好感が持てる。
そうしてきみへの好感が淡い恋に変わっても僕らの関係は変わらなかった。
それはきみに好きな人が出来たから。きみはまだ感じてはいないようだけど、きみは好きな人のために自分を変え始めている。相手のためにきみが動くのは正直驚いている。きみってそんなタイプだったんだな。

そんな前世を思い出しながら物思いにふけっていると、前世を全て思い出したきまが来た。きみの好きな人の情報は先に仕入れてある。人見知りのきみが僕を頼るのは安易に想像がついていたから。何も知らなかったきみの隣でもしかしたら…と夢を見たけど、それももうお終い。
仕入れた情報をきみに渡す。それを見ると足早に去っていった。
僕に見向きもしないんだな…。
テーブルの木目を眺める。徐々に歪む木目にあはっと笑いが溢れた。僕の事なんて見向きもしないんだね。
木目に少し水分を吸わせても問題はないだろう。

6/1/2023, 9:22:41 PM

梅雨

ザーザーと降る雨の隙間からたまに悲鳴が聞こえてくる。
やめて!やめて!と。
声の方向に目線をやれば、女性が子どもに向かって言っている。
大体雨の日そう、子どもが水たまりを見つけては陽気にジャンプをしてそれを見た母親が悲鳴をあげている。
失礼だけど、あぁもうそんな時期か、とその姿に梅雨を感じてしまっている。
でもなぁ、正直子どもが水たまりの上を跳ねたいのはよくわかる。自分が小さい時だってそうだった。
白線の上は何故か歩きたくなるし、アスファルトの段差の高いところを歩きたくなるし、ガードレールに触りながら歩いた時もあった。そこら辺に落ちてる大きめの石にだって毎回何かしたらのアクションを起こしてた気がする。
止められないよなぁ、と去年の梅雨も同じ事を考えたかもと傘の中ちょっと笑いを浮かべて足早にその場を離れた。

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