失恋
今日僕はきみに失恋をする。
一目見てわかった。きみは人付き合いが苦手だ。
それはきみの生まれ育った環境もあるだろうし、きみの内気な性格なのもあるだろう。
でもきみはとても真っ直ぐに生きている。その生き方はとても好感が持てる。
そうしてきみへの好感が淡い恋に変わっても僕らの関係は変わらなかった。
それはきみに好きな人が出来たから。きみはまだ感じてはいないようだけど、きみは好きな人のために自分を変え始めている。相手のためにきみが動くのは正直驚いている。きみってそんなタイプだったんだな。
そんな前世を思い出しながら物思いにふけっていると、前世を全て思い出したきまが来た。きみの好きな人の情報は先に仕入れてある。人見知りのきみが僕を頼るのは安易に想像がついていたから。何も知らなかったきみの隣でもしかしたら…と夢を見たけど、それももうお終い。
仕入れた情報をきみに渡す。それを見ると足早に去っていった。
僕に見向きもしないんだな…。
テーブルの木目を眺める。徐々に歪む木目にあはっと笑いが溢れた。僕の事なんて見向きもしないんだね。
木目に少し水分を吸わせても問題はないだろう。
6/3/2023, 8:38:40 PM