ふっと目を覚ました時、何かに呼ばれた気がして振り返る。
シェアハウスの一角。丁度桜が絵画のように見える窓辺が、僕の特等席。
窓を開けた途端に、まだまだ肌寒い風が部屋を駆け抜けて、小さくくしゃみを1つ。
でも、差し込んでくる光は暖かさを運んできて、つられるように外に飛び出した。
立ち並ぶ高層ビル。所々に残された自然。微かに甘い潮風。
僕が暮らす町は、意外と不思議なところなのかもしれない。
賑やかで艶やかな音と色彩に彩られた町は、特に楽しそうで。
歩き慣れた道はすっかり淡い桃色に染まっていて。
すれ違う人達は時々立ち止まっては上を見上げたり、足元を見つめてみたり。
あぁ、綺麗だなぁ。
でも、”春爛漫”って言うけれど、僕には花より団子が合ってるみたいだ。
春爛漫
ただ、一番になりたかった。
得意なことで、生きてみたかった。
大好きな世界で、認められたかった。
”誰よりも、ずっと”優れている、なんて。
思い上がった結果が、今の生き方なんだと思い知らされている。
誰よりも、ずっと
最初は憧れて、悩んで、羨んで。
勝手な妬み、僻み、恨みを抱いて。
そうやって、終われない何かに迷い込んで。
きっと解らないなりに解っていくんだろうなと思いつつ。
”これからも、ずっと”同じことを繰り返していくのだと、半ば諦めてもいる。
単純で、勝手に終われないくせに、容易く終わらさせられてしまう。
全くもって、生きることは難しい。
これからも、ずっと
すぅっと消えていく明かり。
ぷっつりと消えていく癖に、刹那の輝きは本当に綺麗で。
この光景を、あいつはもう何年も見ていない。
”昼に起きていられない病”
そんなもの、本当にあるのか疑問だった。
でも、夜明けと共に気絶するように眠ってしまう姿を見て、嘘じゃないって解って。
同時に、すごく、苦しくなった。
あいつが起きている世界は、暗闇に人工の光が煌めく世界で。
俺がいる自然の光に彩られた、鮮やかな世界とは真逆で。
そんな世界に取り残されたあいつと、どうしても話をしたくて。
だから、俺から会いに行こうって思ったんだ。
”沈む夕日”が再会の合図だなんて、あいつが知ったら呆れたように笑うんだろう。
沈む夕日
どこまでも真っ直ぐで、怖いくらいに優しくて。
野心家で、自信家で、マイペースな君。
現状に満足しないで、いつだってその先を目指してて。
本当、とんでもない後輩ができたもんだって、思ってたのにさ。
そんな君が、心を許してるのが自分だって、未だに信じられないんだよねぇ。
だって、君が嫌悪しそうなタイプだと思ってたから。
だから、あんまり踏み込まないようにしてたんだけど、君の見解は違ったみたい。
そう考えたら、君とは結構、似てるのかもねぇ?
表面的なことじゃなくて、もっともっと深い、根本的なところがさ。
”君の目を見つめると”、それだけで全てが変わるなんて思わなかった。
君の目を見つめると