NoName

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4/10/2023, 12:54:04 PM

ふっと目を覚ました時、何かに呼ばれた気がして振り返る。
シェアハウスの一角。丁度桜が絵画のように見える窓辺が、僕の特等席。
窓を開けた途端に、まだまだ肌寒い風が部屋を駆け抜けて、小さくくしゃみを1つ。
でも、差し込んでくる光は暖かさを運んできて、つられるように外に飛び出した。

立ち並ぶ高層ビル。所々に残された自然。微かに甘い潮風。
僕が暮らす町は、意外と不思議なところなのかもしれない。
賑やかで艶やかな音と色彩に彩られた町は、特に楽しそうで。
歩き慣れた道はすっかり淡い桃色に染まっていて。
すれ違う人達は時々立ち止まっては上を見上げたり、足元を見つめてみたり。

あぁ、綺麗だなぁ。

でも、”春爛漫”って言うけれど、僕には花より団子が合ってるみたいだ。




春爛漫

4/9/2023, 2:57:54 PM

ただ、一番になりたかった。
得意なことで、生きてみたかった。
大好きな世界で、認められたかった。

”誰よりも、ずっと”優れている、なんて。

思い上がった結果が、今の生き方なんだと思い知らされている。



誰よりも、ずっと

4/8/2023, 2:28:04 PM

最初は憧れて、悩んで、羨んで。
勝手な妬み、僻み、恨みを抱いて。
そうやって、終われない何かに迷い込んで。
きっと解らないなりに解っていくんだろうなと思いつつ。
”これからも、ずっと”同じことを繰り返していくのだと、半ば諦めてもいる。

単純で、勝手に終われないくせに、容易く終わらさせられてしまう。

全くもって、生きることは難しい。


これからも、ずっと

4/7/2023, 2:09:27 PM

すぅっと消えていく明かり。
ぷっつりと消えていく癖に、刹那の輝きは本当に綺麗で。

この光景を、あいつはもう何年も見ていない。

”昼に起きていられない病”
そんなもの、本当にあるのか疑問だった。
でも、夜明けと共に気絶するように眠ってしまう姿を見て、嘘じゃないって解って。
同時に、すごく、苦しくなった。

あいつが起きている世界は、暗闇に人工の光が煌めく世界で。
俺がいる自然の光に彩られた、鮮やかな世界とは真逆で。
そんな世界に取り残されたあいつと、どうしても話をしたくて。

だから、俺から会いに行こうって思ったんだ。

”沈む夕日”が再会の合図だなんて、あいつが知ったら呆れたように笑うんだろう。



沈む夕日

4/6/2023, 1:21:21 PM

どこまでも真っ直ぐで、怖いくらいに優しくて。
野心家で、自信家で、マイペースな君。
現状に満足しないで、いつだってその先を目指してて。
本当、とんでもない後輩ができたもんだって、思ってたのにさ。

そんな君が、心を許してるのが自分だって、未だに信じられないんだよねぇ。

だって、君が嫌悪しそうなタイプだと思ってたから。
だから、あんまり踏み込まないようにしてたんだけど、君の見解は違ったみたい。
そう考えたら、君とは結構、似てるのかもねぇ?
表面的なことじゃなくて、もっともっと深い、根本的なところがさ。

”君の目を見つめると”、それだけで全てが変わるなんて思わなかった。



君の目を見つめると

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