オレを拾ってくれたのは、穏やかな笑顔が印象的な”カミサマ”でした。
正直、どうやってそうなったのかは覚えていない。
ただ仲間が喧嘩してたから、止めなきゃって飛び出して、そのままとばっちり喰らって……。
気が付いたら、真っ暗な森の中にいた。
見慣れない土地。嗅ぎ慣れない匂い。独りぼっちの現実は、やっぱり理解できなくて。
どうやって帰ったらいいのか、そもそも帰れるのか、全く解らなくて途方に暮れていた。
「あれ? 迷子、かな?」
呆然と立ち尽くすオレを、ちょっと驚いたように、でもすぐに優しい笑顔で抱き上げてくれた。
「ーーーもしかして君は、空から来たの?」
温かい手が、オレの頭を撫でる。
その時点で悪い気配は微塵も感じなかったし、何よりこの手を払ったら次はないって本能的に思って。
だから必死でしがみついてたら、クスクスと楽しそうに笑う声がした。
「こんなところで置いていかないよ。明るくなったら、改めて探しに行こうか」
その言葉にホッとしてうとうとし始めたオレに、困ったように、でも、大切そうに抱き締めたまま連れ帰ってくれた。
それから起きた出来事はオレにとって忘れられない大切な思い出だし、これ以上ない大好きなみんなにも出会えた。
あの時オレを見つけてくれて、本当にありがとう。
必ずまた、会いに来るから。
その時はまた、”星空の下で”
星空の下で
簡単に言えば、目指したものが違った。
いや。根本的に、解り合えるなんて思っちゃいないけど。
俺は見た目もこんなだし、正直、真っ当とは言えない。
それでも、知らなければ、普通にしてもらえたから。
大抵は、この見た目でろくな目に遭わなかったけど。
最初は、君も驚いてたっけ。
そりゃそうか。いくら髪や、服で隠したとしても隠しきれるものじゃないし。
そのせいで、理不尽な扱いを受けることもあったけど、仕方ないって諦めてた。
これは俺が生きている代償で、死ねない証明だから。
生きることは殺すこと。命を屠ることで、俺は生きている。
その命が何であれ、選別して、刈り取って、屠ることが、今の俺の役目。
だから、君は俺を追いかけてくれたら”それでいい”。
生きることは殺すこと。それは比喩でも何でもなく、俺の生業そのもので。
そんな俺みたいな奴を追いかけることが、君の生業なんだからさ。
それでいい
”1つだけ”を願うとしたら、君は何を願う?
願いじゃなくてもいいし、欲しいものでも構わないよ?
思い浮かべた”1つだけ”が、本当に1つなのかは解らない。
人は強欲だからねぇ。”1つだけ”で満足できるわけないじゃないか。
だからね? こう願うことがあるんだ。
”1つだけ”叶うとしたら、後〇〇、叶えてくださいって。
本当、人ほど強欲で狡猾な生き物はいないんじゃないかなぁ?
まさに、”1つだけ”、だよねぇ?
1つだけ
それはきっと、多くはないのかもしれない。
それはきっと、少なくないのかもしれない。
それぞれに個性があるように、それはきっと、掛け替えのないもので。
けれど、その重さに潰されそうになって。手放したいほど辛い時もあって。
万人に受け入れてもらえないこともある。
それでも、譲れなくて、守りたくて、思って、願って、積み重ねて。
その先にあるものだったり、実は既に持っていたり。
何とも不思議で、曖昧で、けれど、理由で、目標で。
”大切なもの”は、きっとそう言うものなのかもしれない。
大切なもの
”嘘を吐くことはいけない”
なんて言われてきたけれど、実際、嘘は誰もが吐いていることだよねぇ?
正しい嘘の使い方、なんて、誰にも解らないけど、少なくとも悪いことだなんて、言いきれないんじゃない?
吐いた嘘から救われたことがあるし、嘘が本当になったことも実際にあるからね。
だから、絵空事を言い続けるのも、嘘の延長で、本当なんだよねぇ。
少なくとも絵空事だとバカにする奴らより、絵空事を実現しようと奮闘する方がどれだけスゴいかなんて、解りきってるし。
……ねぇ。君だったら、どっちを選ぶ?
嘘を吐いて嘲笑うか、嘘を真実に変えて笑うか、なんて、”エイプリルフール”らしくない質問だったね。
エイプリルフール