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オレを拾ってくれたのは、穏やかな笑顔が印象的な”カミサマ”でした。

正直、どうやってそうなったのかは覚えていない。
ただ仲間が喧嘩してたから、止めなきゃって飛び出して、そのままとばっちり喰らって……。
気が付いたら、真っ暗な森の中にいた。
見慣れない土地。嗅ぎ慣れない匂い。独りぼっちの現実は、やっぱり理解できなくて。
どうやって帰ったらいいのか、そもそも帰れるのか、全く解らなくて途方に暮れていた。

「あれ? 迷子、かな?」

呆然と立ち尽くすオレを、ちょっと驚いたように、でもすぐに優しい笑顔で抱き上げてくれた。

「ーーーもしかして君は、空から来たの?」

温かい手が、オレの頭を撫でる。
その時点で悪い気配は微塵も感じなかったし、何よりこの手を払ったら次はないって本能的に思って。
だから必死でしがみついてたら、クスクスと楽しそうに笑う声がした。

「こんなところで置いていかないよ。明るくなったら、改めて探しに行こうか」

その言葉にホッとしてうとうとし始めたオレに、困ったように、でも、大切そうに抱き締めたまま連れ帰ってくれた。
それから起きた出来事はオレにとって忘れられない大切な思い出だし、これ以上ない大好きなみんなにも出会えた。

あの時オレを見つけてくれて、本当にありがとう。
必ずまた、会いに来るから。

その時はまた、”星空の下で”



星空の下で

4/5/2023, 2:08:01 PM