NoName

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ふっと目を覚ました時、何かに呼ばれた気がして振り返る。
シェアハウスの一角。丁度桜が絵画のように見える窓辺が、僕の特等席。
窓を開けた途端に、まだまだ肌寒い風が部屋を駆け抜けて、小さくくしゃみを1つ。
でも、差し込んでくる光は暖かさを運んできて、つられるように外に飛び出した。

立ち並ぶ高層ビル。所々に残された自然。微かに甘い潮風。
僕が暮らす町は、意外と不思議なところなのかもしれない。
賑やかで艶やかな音と色彩に彩られた町は、特に楽しそうで。
歩き慣れた道はすっかり淡い桃色に染まっていて。
すれ違う人達は時々立ち止まっては上を見上げたり、足元を見つめてみたり。

あぁ、綺麗だなぁ。

でも、”春爛漫”って言うけれど、僕には花より団子が合ってるみたいだ。




春爛漫

4/10/2023, 12:54:04 PM