残り香

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6/15/2024, 8:58:45 AM

あいまいな空

雲がかる空は、僕の気持ちみたい。
僕の気持ちを表現する。

白いキャンバスに白い絵の具を垂らす。
筆で軽快なリズムで跡をつける。

白に白でも色がそれぞれ違う、あいまいな色だ。

それは僕に似すぎている。
この雲は僕であり、雲は僕である。
雲の形は様々なんだ。

あいまいな空はない。
あいまいさは雲なんだ。

#08

6/13/2024, 11:36:42 AM

あじさい

今年の紫陽花は、一つ一つの花が美しい、てまり咲き。
凛とし、縹色が疎らに弱かったり、強かったり。
その姿に魅入られた。

貴方にそっくりで。

紫光りする黒髪、涙で潤い曇りがない瞳、透き通る肌。
その全てに私は魅入られ、鼓動が高まった。
そんな、貴方が私の傍にいる。
美しすぎる貴方に触れられるだけで幸せだった。


人間は情が移るもの。
貴方は、私に振り向き続けなかった。
私だけの美しい貴方なんだ。

私だけの紫陽花になってはくれないだろうか。

手をひき、貴方に口付けをする。
息がすぅと抜け、てまり咲き。

雨の水滴が花弁につく。
ゆっくりと指先ですくい口にすると、しょっぱかった。

私は感動した。他にも、涙せず笑って欲しい。
もっと、それを見たいんだ。もっと。


今年の紫陽花は、貴方に似すぎている。
あじさいはこれからも美しく雨に濡れ、咲き誇る。

#07

6/12/2024, 11:49:09 AM

好き嫌い

君に四葉のクローバーを渡した。
だが、その場で君は手から離した。

その日から僕は君が嫌いだった。
手離したことじゃなく、僕の気持ちを受け取らなかったことが嫌だった。

僕は君から離れた。身も心も。

ある日、僕は君と再開をした。
君は、ほのかに赤い頬をしていて、目から雫が美しく頬をつたっていた。

君は僕を儚げに見つめる。

再開の印に君から花を受け取った。
それは、クリスマスローズ。

僕も、君に花を渡した。
ブバルディアを。

君が長い間痛感した思いは、芯にたどり着くための成長期間だったんだ。

君は、ブルバディアを好きでしょう?
僕はブルバディアは嫌いなんだ。

僕が好きなものは、エリカなんだ。
君もいつか理解してくれたら嬉しい。

それが僕にとっての好きであり、愛慕なんだ。

#06

6/11/2024, 10:26:44 PM



久しぶりに目を覚ました。
変わり果てたそれは、跡形がなかった。

僕は崩れ始めた。

呼吸が上手く出来なくなった。
この街の空気は僕には合わない。
涅色のような空気は肺を痛めた。

空気が行き漂わないこの世界は臭い。

いや、臭いのは外の世界では無い。
臭いのは僕自身なのかもしれない。

1枚、また1枚と鱗が崩れていく。
最期は鉄臭く、僕の肺を痛めるものと良い相性になる。

誰か救ってはくれないだろうか。
僕を救う聖水をこの鱗に一滴垂らしてはくれないだろうか。


街は僕がいなければ完成しなかった。

#05

6/10/2024, 11:10:52 AM

やりたいこと


愛する人が、消毒の匂いが染みる場所へ寝込んでしまった。

長い廊下を抜け、409号室前の扉に立った。
白く重い扉をノックすると、低く深い音が廊下に響いた。

今日、届ける花はスイートピーで貴方に似て優しく、甘い香りがする。

ガーベラ、カスミソウ、トルコキキョウ…
そうして毎週、花を貴方に届け続けた。

青白い肌が、ベビーピンクにはならないでほしい。
そのままの色が美しいのです。


早くその腕で私を強く抱きしめてほしい。

今日は、私がずっとしたかったことをします。


私は貴方にシクラメンを届けました。


#04

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