君に会いたくて
近づけば近づく程、遠ざかるその右腕が翼に見えた。
その翼は、触れると折れてしまいそうな程、
脆かった。
君の涙が風に流れて僕の心に触れる。
君が飛べないから、僕がこの群青を飛ぶ。
一刻も早く君に会いに向かいたい。
けれど、君は僕を遠ざけてしまう。
遠ざかる度近づきたい。
君は「綺麗な貴方には、汚い私なんか似合わない」なんて言うけれど、汚いのは僕の方かもしれない。
君に会いに行ったのは、君を思っていたからなんかじゃない。最期に見つめるのは、僕であって欲しかっただけ。
そんな身勝手な僕は汚い。
君が朽ちるその時まで僕は君に会いに行く。
僕に近づいてくれるその時まで。
#34
愛する、それ故に
愛を知らなくとも
あなたを愛していた。
桜が咲く時、向日葵が咲く時、紅葉する時、そして雪が降る時。全てを愛していた。
年月が過ぎると歳も重ねる。
愛は薄れず濃くなっていく。
それこそが愛とも言えるのか。
あなたが光になってしまった。
愛することは、何かを失いながら育てていくのだと思う。
それを今分かってしまった。
愛する、それ故に失っていくものだと。
#33
フィルター
私たちが繋がってたフィルターはもろい
今じゃもう全部いらないの
写真みたいにすぐ破れちゃうんだから
3人のうち2人が元々仲が良かったら片方が沈んだ時、毎回その子の元へ行くでしょう?
そんなもんなんだよ
ハッキリしていないのにすぐ信じて庇おうとする
どんどん加工が増えるみたいに
私たちの間のフィルターが解けたら戻すなんて無理
そのフィルターを戻すのに一体、どのぐらいの時間を費やせばいいのか
私一人になれば、こんなことも考えてしまう…
2人のフィルターも消えちゃえばいいのに。
#32
空はこんなにも
空はこんなにも近かったんだと
空気が浅くなっていく中で私も薄くなっていく
空へ向かうのは案外簡単なものだった
この先には楽園があるのだろうか
それとも何も無いただの地なのか
誰も分からない
分からないから怖い
けれどいずれは誰もが向かう場所だと
私はあと少しで知ることになる
知らなければいけない
空はこんなにも近づきたくないものだと。
#31
子供の頃の夢
幼い頃から私には夢が沢山あった。
おはなやさんにけーきやさん、それとじゅういさん。
沢山の夢で溢れていたけれど、1番の夢は何かと幼い頃に聞かれると「はやくおとなになりたい!」と答えていた。
幼い頃は大人という存在、立場に憧れや希望を抱いていた。
大人になった今、夢は何かと問われ答えるのならば、私は一つだろう。
「子供の頃に戻りたい。」
夢と希望で溢れ、華やかだったあの頃に。
「子供の頃に戻りたい。」と。
#30