残り香

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6/12/2024, 11:49:09 AM

好き嫌い

君に四葉のクローバーを渡した。
だが、その場で君は手から離した。

その日から僕は君が嫌いだった。
手離したことじゃなく、僕の気持ちを受け取らなかったことが嫌だった。

僕は君から離れた。身も心も。

ある日、僕は君と再開をした。
君は、ほのかに赤い頬をしていて、目から雫が美しく頬をつたっていた。

君は僕を儚げに見つめる。

再開の印に君から花を受け取った。
それは、クリスマスローズ。

僕も、君に花を渡した。
ブバルディアを。

君が長い間痛感した思いは、芯にたどり着くための成長期間だったんだ。

君は、ブルバディアを好きでしょう?
僕はブルバディアは嫌いなんだ。

僕が好きなものは、エリカなんだ。
君もいつか理解してくれたら嬉しい。

それが僕にとっての好きであり、愛慕なんだ。

#06

6/11/2024, 10:26:44 PM



久しぶりに目を覚ました。
変わり果てたそれは、跡形がなかった。

僕は崩れ始めた。

呼吸が上手く出来なくなった。
この街の空気は僕には合わない。
涅色のような空気は肺を痛めた。

空気が行き漂わないこの世界は臭い。

いや、臭いのは外の世界では無い。
臭いのは僕自身なのかもしれない。

1枚、また1枚と鱗が崩れていく。
最期は鉄臭く、僕の肺を痛めるものと良い相性になる。

誰か救ってはくれないだろうか。
僕を救う聖水をこの鱗に一滴垂らしてはくれないだろうか。


街は僕がいなければ完成しなかった。

#05

6/10/2024, 11:10:52 AM

やりたいこと


愛する人が、消毒の匂いが染みる場所へ寝込んでしまった。

長い廊下を抜け、409号室前の扉に立った。
白く重い扉をノックすると、低く深い音が廊下に響いた。

今日、届ける花はスイートピーで貴方に似て優しく、甘い香りがする。

ガーベラ、カスミソウ、トルコキキョウ…
そうして毎週、花を貴方に届け続けた。

青白い肌が、ベビーピンクにはならないでほしい。
そのままの色が美しいのです。


早くその腕で私を強く抱きしめてほしい。

今日は、私がずっとしたかったことをします。


私は貴方にシクラメンを届けました。


#04

6/9/2024, 2:18:17 PM

朝日の温もり

頬を照らすように、包むように、触れる、支子色。

僕に目を覚ませと言うように、朝日は目を照らしてくる。
眩しいので、髪で目を覆う。

少し臭うが、心地よいのは支子色の温もりのせいだろうか。

臭い。

パンの焼け焦げた匂いみたいだ。

僕が感じる温もりは、人と違うのだろうか。
心があたたかく、燃え尽きるような、そんな感覚だった。

白いベッドが黒焦げて灰になった。



それこそが僕に似合う朝日からの最後の温もりなんだ。


#03

6/8/2024, 12:42:24 PM

岐路

今立っているここは、どこなのだろう。
真っ白くて、霧に満ちている。
そっと息を吹きかけると、二本の道筋が見えた。

僕に足りないものは、「愛」と「友情」だった。
どちらを優先、大切にするべきか分からなかった。

自分ではどちらかなんて決められない。

いや、そもそも選べないんだ。二つを大切にしなければいけないんだ。

自分で自分の真っ直ぐな道をつくる。

迷うことなんてない、岐路が気付かせてくれたんだ。

必要なものを。


#02


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