ゆじび

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8/6/2025, 10:41:57 AM

「またね」


僕の大好きなあの人は「愛」を嫌っている。

あの人と出会ったのは人の多い祭りの中。
すれ違ったあの人はとても美しかった。
目を離せなくなった。
あの人は僕の顔を見てうつむいた。
追いかけて見ると目から涙がこぼれていた。
目が赤く、痛々しく腫れていて長い間泣いていた事が分かった。
どうしたのかと聞くと彼女はなにも言わなかった。

また会った。
次は駅前のパン屋さん。
僕が気に入っていてよく行くところだ。
偶然だった。

また会った。
次は電車の中。
いつも僕が登校に使う電車。
きっと偶然。

また会った。
4度目だった。僕の学校に転校してきた。
運命だと思ったが気恥ずかしくて声をかけられなかった。
またまた偶然。

休日彼女に会った。
さすがによく会う。気が合うのかもと思い勇気を 出して連絡先を交換した。

今思うとこれは偶然ではなかったのかもしれない。

何度も会って遊びに行った。
デートってものにも行った。
なんども告白をした。でもその度に迷っているようだった。迷って迷って、結局「無理」だけいって断る。
さすがに何度も振られれば諦められると思った。
でも諦められなかった。

そしてあの日。
初めて会ってから一年がたった。
2人で夏祭りに行った。
彼女は長く美しい髪をバッサリ切っていた。
長い髪もよく似合っていたが短いボブもとても可愛かった。
彼女は綺麗な浴衣を着て照れているようだった。

花火が打ち上がって彼女の横顔がカラフルに光った。
なんだか気恥ずかしくて彼女の顔を見ることができなかった。

夏祭りが終わってしばらくして先程まであんなにも騒がしかった広場が少し静まっていた。
彼女は「楽しかった」と言っていた。
満足そうにニヤつく顔が彼女の心をそのまま表したみたいでとても嬉しかった。
僕もニヤつくと「なに笑ってんの」と文句を言われた。
それでも彼女は楽しそうだった。


家に帰ろうと分かれるとき彼女はこっちを向いていった。
「じゃあね」と。
そう言いながら笑う姿は今にも消えてしまいそうで
危ういようだった。
可愛いのにとても不気味というか、なんだか嫌な予感がした。
僕は「またね」と手を振った。
彼女は寂しそうに笑った。
「またね」と言い返すことはなかった。

もしかしたら彼女はこの後に起きることを知っていたのかもしれない。

彼女の家が火事になって、彼女が亡くなったことを知ったのはそれから何日かたった頃だった。



彼女は何か知っていたのかもしれない。
自分が死ぬことも、僕の事も。
もし、もしも別の世界線があって。
あるいは彼女が過去に戻って来ていたなら。
その世界で僕と付き合っていたなら。
全てを知っていてもおかしくない。
いま思い返すとなぜか納得できる。
初めてあった日泣いていたのは僕と再会したからで。
よくあっていたのは偶然ではなく、僕の事を知っていたからで。
告白をしても断るのは僕に悲しい想いをさせないためで。
そもそも戻って来たことを伝えなかったのは僕に
引かれたりすることが怖かったからで。
全て妄想だけどなぜか正しいと思う。


納得できない。信じたくない。
けど今までの日々が僕と彼女のために神が与えてくれた機会だったならありがたく思う。
でも僕は諦められないよ。
後悔だけが心に残ったままだ。




何年もたった今夏が来る度にあの日々の暖かさが、
後悔が蘇ってくる。
きっとこの想いは二度とと消えることはない。



「またね」








8/6/2025, 10:00:48 AM

「泡になりたい」



怖いな。
途方もない毎日が。幸せが。
いつかなくなってしまったら。消えてしまったら。
確かなゴールはまだ見つからなくて、いつか死ぬと言うことは幸せが消えてしまうことと同じで。
君に、貴方にどれだけ願っても逢えない日がやってくる。
怖い。怖い。
きっと私は貴方よりも先に死にたい。
貴方を見送ることは出来ない。
貴方に置いていかれると私は耐えられない。
もし。もしも私が先に逝って貴女が悲しんでくれるなら私は幸せだったと言える。

貴女とあの世で再開したら私が貴方の悲しみを洗い流してあげる。
泡になって包み込むから。

幸せなゴールはやってこないかもしれないけど
今は貴方と走るこの道を大切にしたい。
いつか来る別れを優しく受け入れられるように私は
今日も貴方の手を強く握りしめているよ。


「泡になりたい」

7/24/2025, 2:43:22 PM

「もしも過去へと行けるのならば」


私は貴方の1人のファンで居たい。
もしも過去へと行けるのならば。
応援をしていたい。
届く存在だとは思わないけど。
画面の中だけの貴方を見つめていたい。
恋人になりたいとかそういう関係になりたいわけじゃない。
友達としてでも推しとファンの関係でもいいから
私を闇から救いだしてくれた。
一人寂しい夜でも貴方の声を聞いて大丈夫って一言だけ言ってくれたら、安心して眠れるんだ。
だからもう一度貴方だけを見つめて要らないことまで考えずにただ貴方に魅了されるだけの日々に戻れるなら私はもう「今」に帰ってこなくてもいい。

過去へと行けるのならば今と未来に帰りたくない。
愛だの恋だの嫉妬だのそんな気持ちを知らない頃の私に戻りたい。
貴方は私にとって光だから。
貴方の本当の素顔はどんなのなのか気になって信じられ無くなった今。
でもそれは貴方が好きだから全て知りたいと思っているだけだから。
だから。だからもう一度貴方を応援させて欲しい。
愛してると胸を張って言わせて。






応援してるよ。ずっと。



(これは画面の中の貴方と画面のそとから貴方を応援する1人のオタクの話)



7/21/2025, 3:00:21 AM

「恋煩い」






ただひたすら貴方を追いかけてしまう。
でも、「恋」はいつか枯れてしまうから。
だからこの恋が枯れるまでに美しく綺麗な「愛」に
変えて欲しい。

もし来世があるならばいつか、いつかではなく
恋に気付いたなら私に愛を告げて欲しい。
今世はうまく行かなかったから。
貴方がいなくなる前に愛を告げていたら良かった。
次は後悔なんてしたくないから。
生まれ変わったらまたもう一度貴方と
人生を共にしたい。


あぁ逝ってしまった人の事を何度思っても仕方がない。
分かっているけれど貴方を想わずにはいられない。
これは病なのでしょうか?
きっと病なのでしょう。
こんなにも胸が痛く。
目の奥があついのはきっと病のせい。
逢いたいと願うのは病のせい。

どうせ病に掛かるのならば貴方の後を追えるような。
この世界を捨て、あの世に逝けるような病が良かった。



きっと、こう思ってしまうのも病のせい。


「恋煩い」




7/10/2025, 2:23:13 PM

「冒険」

明日は来ない。
いや来なければいい。
来なかったら良かったのに。

生きてる限り明日ってものは付きまとってくる。
明日に行きたくないっていくら思っても明日が自分を
迎えに来る。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
幼子のように駄々をこねる。
だって嫌だもの。
未来は地獄だもの。



だったら冒険に出たらいい。
明日が来なくなるその日まで。
もう亡くなった友達、おじいちゃん、おじいちゃんが
自分を迎えに来るまで。
果てしない明日を冒険してみたらいい。
いつかこんな世界でも愛せる日が来るから。
美しく見える日がやってくるから。

だからとにかく前に進もう。
明日が嫌になっても、いつか終わりが来るのは
嬉しくも悲しくも平等なのだから。
だから終わりを信じて進んでみようか。

人生という名の遊びが始まり。
終わりという名の死がくるまで。
長旅を。冒険を。


世界が美しく見えるその日まで。

「冒険」

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