最初から決まってた
私はこの言葉を信じない。
最初から決まってたなんて楽しくないから。
最初から決まってたのなら、
今私が必死に頑張っているのは、
痛みを堪えているのは、
笑ってるのは、泣いてるのは、怒ってるのは、
生きてるのは、息をしてるのは、
何故?
この世界の行く末が決まっているのなら、
私一人くらいいらないでしょ?
そんなマイナス思考に陥ってしまうから。
私が存在している意味を、
ほんの少しでいいから欲しい。
楽しさを追いかけたら、
好きなものを追いかけたら、
人生、良かったと終われるかな。
無力でも、少しだけでも頑張れば
私も誰かの役に立てるかな?
そんな思いも、全部決まってた?
あのとき、笑いあったのも
あのとき、悲しんだのも
全て、決まってた?
人の感情、動き、全て決まってた?
そうならば、あまりにも空っぽで寂しすぎる。
だから、絶対信じない。
信じたく、ない。
信じるもんか。
太陽
小さい子供は、禁止されるほど
それを実行したくなる。
必ずそうとは言い切れないが、
私はそんな部分も持ち合わせていた子供だった。
自分にしか害がなければ実行する。
そうでなければしない。
例えば色んな調味料(そうでないかもしれないのも含む)
を一滴ずつ混ぜたものはどんな味?
と疑問を持てば、
するなと言われても実行した。
(味は……不味い。)
だから、太陽を直接見るなと言われたけど見たくなった。
どんな、見た目なんだろう?
虫眼鏡は本当に失明して迷惑をかけるからしなかった。
でも、ただ見るくらいなら、一瞬なら大丈夫なはず。
偶然見てしまったくらいなら大丈夫。
わっ、眩しい!と目を瞑る人はいるから。
私は実行した。
眩しすぎて涙が出た。
しばらく目が変だった。
しばらくすると戻ったけど。
その時の太陽は絵本で見た赤やオレンジではなく、
丸のまわりに線があるわけでもなく、
ただ、限りなく白くて、端は虹色にも見える丸い太陽だった。
今では普通だが、絵本の挿絵と違う!
という衝撃は今でも覚えてるほどだ。
とりあえず幼き私は、納得したのか
それからはわざと太陽をみることはしなかった。
たまに、あの白さが見たくなることはあるが
目が痛くなるのでしない。
鐘の音
あるお寺にて。
私は神社やお寺は案外好きだ。
それも、人の少ない、
けれども寂れすぎてはいないくらいの場所。
あの不思議な静けさと雰囲気が
神様はいるのかもと信じさせる。
お賽銭を入れ、お参りする。
もう少し見て回ろうか。
そんなときだった。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、……。
音の方を見ると立派な鐘。
鐘の音は、近くで聞くと迫力があった。
身体の芯までビリビリと響く。
何回鳴っただろうか。
鳴り終わると、辺りに静けさが戻った。
不思議と鐘が鳴る前よりも静かだと感じた。
つまらないことでも
少し多めに溜まった洗濯物。
少しなら案外嫌いではないのだが
山のようになっていると嫌になる。
地道な作業、畳んでも減らない山。
けれどもつまらないことでもやらなくちゃいけない。
この服も放置してるとしわしわになる。
しなくちゃいけない、でもつまらない。
あ、そうだ。
私は本を広げ、読みながら畳む。
目が疲れたら、一度本を閉じ
好きな音楽を流して鼻歌まじりで畳む。
いつの間にか楽しくなっていた。
気付けば、全て畳み終わっていた。
日常には、
つまらないことも楽しいことも入り混じっている。
けれども、つまらないことでも
好きな事や、面白い事を混ぜると楽しさに変わる。
それで乗り切っている。
※ただし、混ぜる分量を間違えないように気をつけないと
つまらないままだったり、楽しい方に傾いてつまらない事
が終わらなかったりします。
目が覚めるまでに
ピピピッピピピッ、ポチッ。
朝、目が覚めて起き上がるまでの間
見た夢について考える。
確か、真っ暗で時間は夜だった。
私は不気味な雰囲気を感じ、道を走った。
気づけば寂れた神社の境内にいて、
そこで見たのは、不気味で、けれども綺麗にも見える人魂のような光。
私は恐怖心もあったが、好奇心が勝ち、
そっと、近づいた。
そしたら、フッと光が消え
目の前が真っ黒の壁で覆われたかと思えば、
…………その壁は無数の黒い手だった。
恐怖で私は固まって……目が覚めた。
でも、目が覚めるまでに聞こえたあの声は誰のものなのだろう?
「ねえ、」
これだけしか聞こえなかった。
私を恨む声?それとも心配する声?
気になるけど、どうせすぐに忘れる。
私は起き上がった。
もう、このことについて考えるのはやめた。
聞いたことがある気がするなんて、気の所為だ。
……そうだよね?