病室
一度、手術を受けたことがある。
別にしなくても命には関わりなかったけれど。
最初は、本当に嫌だった。
理由は、怖いから。
しかも、受けなくても生きていけるならいいじゃないか。
当時、まだ年齢が二桁になったばかりだ。
麻酔、しかも全身麻酔。
怖い。
けれども、その病院はみんな優しくて、
何よりも隣の子と仲良くなれたから、
怖いのもマシになっていた。
何よりも、その子は私よりも幼く、
そして重い病気だったのに
頑張っていたから勇気付けられたのもある。
病室での楽しい日々はあっという間だった。
せっかく仲良く慣れたのにお別れ。
寂しかった。
あの子、元気にしてるかな。
明日、もし晴れたら
外に……行けない。
暑すぎて熱中症になる。
できる限り室内で涼むのが一番だ。
もうこれは決定事項。
普段、
「暑い……」
と、溶けている私に炎天下の中外にいる元気はない。
アイスとクーラー、これに限る。
だから、一人でいたい。
別に、人といるのが嫌ではない。
友達といるのも好きだ。
でも、一人でいることが多いし(自分から一人でいる)
全くそれを苦に感じない。
何故、一人でいるのか。
理由は三つ。
一つ目は、そもそも一人が好きだったから。
くっつきすぎず、離れすぎず、それを求めていた。
一人でいても想像の世界にひたったり、
本が棚から全て出るほど読み散らかしたり。
一人は好き。孤独は嫌い。
二つ目は、今までの経験上、碌なことがないから。
どうしてもよく雑音が聞こえる。
「あいつは都合の良い……」
信じていた人の声。
嫌だ、聞きたくない。
「本当○○って気持ち悪いよね。」
わたしは、なにも、きいてない。
だから、私はその時信頼できる人とだけいる。
他は、うわべの私。
三つ目は、ボロを出したくないから。
どうしても自分をよく見せたい。
だから必死に背伸びしている。
それに、私の心の中と、表は違う。
私もっと弱くて、つまらなくて、悪い人。
今まで中々悪口は言わなかったけど
……思うことは、何度もあった。
人が思ってる、期待している自分じゃないとバレたら、
孤独になってしまうんじゃないかって思う。
だから、私をある程度わかってくれている人とだけ
ちゃんと素の私でいる。
そんな訳の分からない、
けれども私の中ではかなり真面目な理由があるから、
だから、一人でいたい。
澄んだ瞳
キラキラと輝いていた。
どこまでも穏やかで
吸い込まれるような瞳。
君の目は、綺麗だ。
どうか、その瞳から光が消えませんように。
嵐が来ようとも
立ち向かう……なんて柄にもないことはしない。
決して立ち向かわず、でも潰れないように最善を尽くし
耐える。
そして嵐が去るのをただただ待つ。
私はずっとそうだ。
それは、まるで本物の嵐に耐えているようだ。
本物の嵐も、
人間は立ち向かえるわけがない。
自然災害だから、消し去ることはできない。
だから潰れないように対策する。
防災グッズに避難経路を書いた地図。
そして、嵐が来たらじっと去るのを待つ。
人生も現実も同じだった。
潰れてしまった部分を嵐が去ってから修復したり補ったりする。
取り返しのつかないものもある。
だから嵐が来ようとも立ち向かわず、ただじっと去るのを待つ。