通りすがりの字書き

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4/22/2024, 12:32:35 AM

雨を跳ね上げながら走る車の音
遠くで鳴る雷の音
非常階段に落ちる甲高い雨の音

ベッドに丸まりながらそれらの音を聞く。
「こんな夜は嫌いだ」
1人呟いたところで何も変わらない。

いらぬ記憶が脳裏から離れない。
思い出さされる記憶が心から消えない。

目から落ちる雫が全て無くなっても、記憶は消せない。

あの人はもう戻ってこない。

お題『雫』

4/19/2024, 2:15:40 PM

運ばれてきたカツ丼に、そうコレコレ。と言いたくなるくらいここのカツ丼は絶品かと思う。
丁寧にいただきますと言って食べ始める。
「そういえば、どうしてるんだ?アイツは」
目の前にいた男が、連れの女に尋ねた。
「あー。新しい会社で頑張っていますよ。多分」
多分ねぇ、といいながら、男が苦笑いをした。
「これから彼と付き合っていけるか、どうなるのか、もしも未来を見れるなら、見て判断したいなぁと。先輩は、どうして今の奥さんと結婚したんですか?」
質問を投げてから、女はカツ丼にがっついた。
「そうだなぁ。未来が見えなかったからかな。」
カツ丼を口に入れていた女が不思議そうに男の顔を見た。「未来が見えすぎると、悪いことばかり見えてくる気がして。だから、今一緒にいて、1番楽で、未来が見えない嫁と結婚した」
「なんか、私はそれ怖い気がします。」
「ま、人それぞれかな。ま、まだ若いんだし悩め悩め」
そうですね、と言いながら、カツ丼を再び頬張った。

お題『もしも未来を見れるなら』

4/19/2024, 8:22:13 AM

なぜ、ここに辿り着いたんだろう。
どうして、ここに来たいと思ったんだろう。
この世界では何も得ることがないのに。

そうだ、私は全て捨ててここに来たんだ。
だから、ここは無色の世界なのか。

私が何かを得ようとすると、誰かが嫌な思いをする。
そんな気がして、すべて捨ててここに来たんだ。

私が何かを得ようと思える未来は、色のついた世界だろうか。


お題『無色の世界』

4/18/2024, 9:20:57 AM

1人ベンチに座っていると、いろいろな景色や人々をみることができる。

湖の上に浮かぶ花
犬の散歩に来ている人
春、落ち葉を出す、くすのき
ジョギングをしている人

私は1人、タバコをふかしながらいろいろな情景を見る
ただただ、何も考えず見ているだけ。

突然突風が吹くのも春の景色の一つ。
ふと、右を向くと、桜散る中に貴方を見た気がした。

空を見上げた。
5年前に他界した、貴方を感じる場所。

お題『桜散る』

4/14/2024, 1:11:06 PM

逃げた。
逃げないと、この気持ちから抜け出せないと思った。
あの夜だけ、彼は私を愛してくれた。それだけでいい。
それがどんな状況であれ、傷ついた彼が私を頼ってくれただけ。それだけでいい。

私はあの夜の思い出だけで生きていける。
いえ、生き延びてみせる。

今、手に入れた環境は全て捨てて、彼の前から消えても、生きられる。

だから、神様へお願い。
私はもう十分もらったから、もうこれ以上、望むことはないから、彼は、愛する人と一緒に幸せに過ごさせてあげてほしい。
お願い。

お題『神様へ』

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