通りすがりの字書き

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8/5/2024, 9:57:13 AM

信号で停まったらニュートラルに入れて。
いや、入れなくて良かったんだっけ?
あれ?なんでいれるんだっけ?
そもそも何で、私はニュートラルに入れるようになったんだ?
おや?

余計なことを考えず運転に集中、集中。

「あ、そうか!」
「お母さん、突然叫ぶのやめてくれない?うるさいわ」
娘に言われて、運転しながら謝る私。

こんな、つまらないことでも、些細なことでも、あいつのことは覚えている自分に笑ってしまった。
「今度は突然笑うとか、不気味なんですけど?お母さんおかしいよ」
また、娘に言われて謝る私。

35年も前のことか。
しょーもないな、私。


お題『つまらないことでも』

8/2/2024, 9:07:59 AM

毎日毎日、同じ繰り返しの中で生きていたら、感情の起伏がなくなった。
別に、この生活が嫌でも無いし、抜け出したいわけでも無い。
そんな感情はきっと過去に置いてきたんだから。

明日、もし晴れたら、墓参りに行こう。
あなたが眠る場所に、あなたとの思い出を語りに。

私の時計は、あなたがいなくなった日に止まってしまったままだから。

お題『明日、もし晴れたら』

7/11/2024, 3:54:32 PM

注文して中途半端に飲んだコーヒーは冷めて、お世辞にも美味しいと言いたくない状況になっている。
車があれば簡単に来られるが、電車とロープウェイを乗り継いでやっと来られたんだから、長居しようなんて思うから迷惑な客になるんだ。
ささくれた心を少しでも慰めようと此処に来たのに、ささくれを傷に変えていく思い出ばかり。

もうダメだ。帰ろう。
残りのコーヒーを飲み干してから、伝票とカバンを手に席を立ち、窓を見た。

綺麗。
ただ、純粋にそう思えた。
心が、ささくれていても、弱っていても、この山の上にあるカフェからの夜景はキラキラしている。
微笑んだ自分の目から涙が流れた。

【みーつけた】
カフェから出てすぐに届いた1件のLINEに目を奪われていると、背中が温かくなった。

「どれだけ探させるんだよ」


お題『1件のLINE』

7/6/2024, 7:19:44 AM

「どうする?もう一軒いくか?」
どこへ向けた言葉なのか、空に飛んだ声に私もよくわからない返事を誰もいない方へ投げた。
「うーん?」
私の言葉に何の返事もなく、ただ、誰のものかわからない見知らぬ声や音だけが流れていく。
私は、ただ何も考えずに、空を見上げた。
星空なんて見えるわけもない、ただ暗いだけの空だった。
「おいって、聞いてたか?どうするよ?」
繋がれて引き寄せられた左手が、真っ赤になってほてっていくような、ドクドクしているような、恥ずかしい感覚に陥った。

私はこの人が好きなんだと、他人事のように思った。


お題『星空』

7/2/2024, 2:06:18 PM

黒いビジネススーツで営業。
今日も頑張った、と自分を褒める気にもならず、横断歩道の信号待ちで空を見上げた。
月からの風を感じ、目を閉じる。
月だけが私を包み込んでくれる、許してくれる。
毎日そう思いながら夜空を見上げる。

「またか。」
よく知っている男の声が後ろから聞こえた。
「またよ。」
私は答えた。
「俺じゃダメなのか。」
私は、その言葉を無視して歩き出した。
彼がダメなのではない、私がダメなのだ。

仕事を変える勇気も、心に素直に生きる強さもない。
「いい加減、俺と一緒に進む気にはならないのか。」
私はあなたと太陽の日差しのもとを、堂々と歩く資格はない。
私は彼の手を振りほどいた。そして、手を強く握りしめて、歩いた。

家にたどり着いた時、握りしめた手から、血が出ていた。
手の痛みはなかったが、こころが痛くて、涙が流れた。

この世の中に、心に忠実に生きている人はどれくらいいるのだろう。
 

お題『日差し』

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