なめくじ

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4/6/2024, 2:25:32 PM

君の目を見つめると、何故か君は逃げ出そうとする。
落ち着きのない表情で、私の視線から離れていく。
そんなところが愛らしくて、同時に少し悲しくて。

君は知らないのだろう。
私が何度君に助けられたことか。
君は無自覚だから、助けたという認識もないのだろう。
それでも確かに救われたのだ。
君の暖かく柔らかい視線に。

誰かに見られているというのは、
必ずしも気持ちの悪いものではなく。
誰かに見守られていると言うだけで、
人の心は何故か強くなれる。
君の視線は、私を酷く安心させるものだった。

君に覚えがないのだとしても、私は決して忘れない。
君の視線を、君の優しさを。
そして、私は君にそれを返そう。
私を助けてくれたように、君を救いたいから。

私の熱い視線を、存分に受けとってくれ。

3/31/2024, 11:40:01 AM

付き合って6年。初めての高級レストラン。
どこか覚悟したようなあなたの目。
私はプロポーズされるのだろうと悟った。

料理も終盤。
あなたが席を立ち、私の横で片膝をつく。
柄にもなく様になっているその姿。
緊張がこっちにまで伝わってくる表情。
堅苦しい口調と、指輪を差し出し震える腕。

「この世の誰よりも幸せにする。」

キザな台詞を言うものだと、思わず笑ってしまった。
だけどそれ以上に、信じられないくらい嬉しかった。

幸せにするだなんて、大層なことを口にしないで。
あなたはただ、私の手を離さなければいいのよ。

そう言い指輪を嵌めると、
あなたは嬉しそうに微笑み頷いた。
一目惚れしたあなたの笑顔と重なった。

3/31/2024, 8:57:29 AM

ぐさり。
聞こえないはずの音が鳴る。
君の言葉が心に深々と刺さっていた。
泣いてしまいそうになるけど、
君に悪意がないのは、痛いほどよくわかってる。
だから僕も、悲しい気持ちを押し殺す。

今日もまた、何気ないふりが上手くなる。

3/29/2024, 12:14:12 PM

周りの誰もが君を軽蔑した目で見下す。
もはや社会の全てを敵に回した君は、
取り乱しながら僕に助けを乞う。

君を知る全ての人間が君の死を望み、
君を知らぬ全ての人間が見て見ぬふりをする。
この世のどこにも居場所のない君は、
この世の何よりも愛おしく思えた。

君が僕の腕にしがみつく限り、
僕は君の全てに応えよう。
君が僕の足にすがりつく限り、
僕は君とともに逃げよう。

彼らのハッピーエンドは、君が死ぬ未来らしい。
僕が君の手を払い除けるだけで、
全世界にハッピーエンドが訪れるそうだ。

つまり僕らのハッピーエンドは、
彼らのバッドエンドの上に成り立つものってこと。

君はその幸せの重さに潰されて生き続けてね。
僕がずっと眺めていてあげるからさ。

3/28/2024, 2:22:11 PM

学年一の美人。
なんて在り来りの賛美を一身に受ける彼女は、
席が隣になってから、何故か僕をずっと見つめてくる。

数回しか話したことなんて無いから、
友達なんて関係でもない。
そんな視線を浴びる心当たりが無さすぎて、
友達からの挨拶もまともに返せなかった。

日に日に強くなっているように錯覚する程の視線。
その瞳に見つめられると、逃げられない気がして。
つい目を逸らしてしまい、横でくすりと笑われる。
なんでそんな目で見つめてくるんだと、
問い詰めたくもなるけど。
整った君の顔を正面から見るのがやっとで。
そんな僕も見透かしたように、
また熱い視線を送ってくるんだ。

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