好き、とはまた違くて。
愛してる、訳でもない。
それでも一緒に居たくて、
口から出るのは君の名前。
隣に居てくれないと落ち着かないし、
目に映るだけで安心する。
君が学校に来なかったら、僕も早退するよ。
君の部活が長引いたって、ずっと待ってる。
誰からも理解を得られなくたって、
君が居れば大丈夫だから。
依存だなんて言わないで。
君はきっと、特別な存在なんだよ。
私たちの関係に名前はなかったけれど、
きっと誰よりも近かった。
私たちを縛るものは何もなかったけれど、
いつでも隣で笑っていた。
わたしの1番があなたであるように、
あなたの1番は私だと、信じて疑わなかった。
あなたの口から飛び出す知らない女の人の名前。
見たことの無いあなたの笑顔。
その時に理解してしまった。
あなたの事を好いていたのだと。
そして、失恋したのだと。
私はあなたを引き止められない。
だって私たちの間には、なにもないから。
私もあなたが好きだとか、
私があなたをいちばん分かってるだとか。
口が裂けても言えない。
きっと私は、あなたの事を何も知らない。
近くにいただけで、分かってるつもりでいた。
私はあなたの1番を名乗れない。
私はあなただけだったけれど、
あなたにとっての1番は私ではなかったのね。
「ほんと、バカみたい。」
全てが手遅れになってから気付くなんて。
ずっと知らないままの方が幸せだったわ。
悲しい事言われたって、
鼻の奥がツンっと痛んだって、
深く深く落ち込んだって、
周りは何も変わらない。
なら、わざわざ伝える必要も無い。
大丈夫。泣かないよ。
言ったって理解して貰えないし。
泣いたって同情されるだけだから。
大丈夫。笑えるよ。
いつもと何も、変わらないでしょ?
私の気持ちに、気づかないでしょ?
涙を零さないように目を閉じて笑ったら、
みんなも笑顔を返してくれるから。
昼も夜も変わらず頭上で光る星たちは、
いつの日か瞳に留まることが無くなった。
過度に眩く街並みが陽の真似事をして、
夜空の輝きを忘れさせている。
天象儀の中では虚像の星が溢れる。
実物よりも煌めくそれらを眺めていると、
何故だか酷く、空しくなった。
話している時、食べている時、遊んでいる時。
あなたはいつだって私を見てる。
時には楽しそうに目を細めて、
あるいは焼き付けるように目を合わせて。
あなたの視線はいつも熱くて、やわらかい。
なんでそんな風に見るのだろう。
ふと、気になった。
私の何があなたの視線を集めるのだろう。
あなたは私のどこを好きになったのだろう。
丁寧に手入れをしているこの髪?
血色の良い柔らかなこの肌?
あなただけを見つめる私の瞳?
もっと知りたい。もっと教えて。
あなたの見ている私は、どんな姿をしているの?