伊藤透雪

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1/15/2026, 7:24:00 AM

どうして/問う答えは明日がない


寒風吹き荒び瞼を叩く。
足は痺れ覚束ない足取り
で進むのは、山中の神社
へ向かう道だ。

どうして、と問うことは
ことごとく散らす事が
ようやくできて、
肺は自由の空気に晴れて
両腕も解放している。

それなのに空は荒れて、
唇から熱を奪おうと、雪
の礫で顔を激しく叩く。
足は凍り、辿々しく踏ん
で、長い道程を明日へと
ようやく石段の麓へ辿り
着いた。
手摺が頼みの急な石段は
、どうしてと問う答えの
無い、明日を捨て去って
ゆこうとする気持ちを削
ぐかのように、雪がまた
待ち構えている。

雪が覆う石段を一歩、
また一歩と牛歩の如く
登っていくが、滑る。
かじかんだ手が貼りつく
手摺を頼りに登る石段は
、本当の自分が求める事
を試されているのだろう
か。

本当の自由とは、何かを
、受け入れた先にあるの
かもしれない。
苦難を、悲しみを、全て

1/14/2026, 8:06:07 AM

夢を見てたい/イマジナリーな声


落ちる感覚のあとに辿り着いた森に、細い道が登り坂で緩くくねっている。
遠くから声が聞こえた気がして、目を細めて道の先を望むと、大樹が両翼を広げて、遠くから呼んでいる声が届いた。

ーヤ、ヤット、ト、キタカ。
ーサ、サアア、コチラ、ラ、ニ

カサ、と足元の草の音。呼ばれるままに一歩一歩進むうちに樹の根本が見えてきた。
森から開けた大地に広く根を張る樹から、空に向かって放たれる光が見える。
惹かれるように駆け出した私は、思い出した。遠い昔に出会っていた存在、懐かしい気配を纏っている存在を。

意識の中に表れ、話す相手の姿。
兄のような、いつも側に感じた存在と時々話していた幼い日の、遠い記憶が掘り起こされる。
辿り着いた幹に触れ、何度も撫でた。
あなたは居たのね。本当に居たのね。
涙が落ちた、愛おしいという感情に近い、思いが溢れ、


タイマーの音色が聞こえた。
私は軽い頭痛と目眩を感じて、
鳴っているメロディをオフにした。
触れるスマホの固さが、夢だと告げた。
私の頬を涙が流れていた。

このまま見ていたかった。
時間を超えてやっと見つけた便りが、消えてしまった。
何故今朝なのかは分からないけれど、温かいぬくもりに触れていた幸せが、夢の中で泡が膨らむように表れたのを、離すのが辛くて、少しだけぼんやりしたあと、
諦めて起き上がった。


今日は水曜日、まだ平日だから出る支度しなくちゃ。

1/13/2026, 7:21:48 AM

ずっとこのまま


ずっとこのまま、なんていや。

ちょっとでも変わりたい
ひと言ひと言、一筆一筆
とても遅くても
こころが動くから

ずっとこのままではいられない
もう端に火がついてる

1/12/2026, 8:37:16 AM

寒さが身に染みて/あの頃は若かった


夕べから降り始めたボタ雪が
今朝早くに吹雪いてきた
空は薄墨色に鈍い

今日は成人の日、
遠い昔の思い出に思い致せば
一緒になったあの人を思い出す
二人とも成人式にはゆかず
二人だけの結婚式をあげた
若過ぎると反対されたけれど
私たちは幸せだった
朝も夜もお互いの顔が見え
寂しさにメールすることも要らない
行ってきます、という声が
温かいのだから


それから幾十年、何が悪かったのか
今は薄くまぶたの裏を覗いてみても
お互いに
寒くなった寂しさよりも
一人になりたい二人だったのかもしれない
今は堪える
あの人は今頃
、、

1/11/2026, 3:45:15 AM

20歳/若い日々


新人のとき
心が乾き砂に滴るような
雫が集まって流れになるまで
たくさんの雨を必要とした
曇る日もあり晴れる日もあり
先輩たちの励ましと
同期との賑わいが
二十歳の日を通り過ぎた

二十歳とは
若さという強さと傲慢
弱いもの知らずな手足
分け入る社会の激しい海
で漁をする若者の一人として
賢明に手足を頭を動かす時
もがく日々だった

失敗して落ち込んで、たくさん
酒を飲んだ
愚痴る相手がなくても
酷く疲れても
ひと眠りできれば何とか

苦しい暗い道に迷い込んだとき
起き上がれないとき
支えてくれた仲間もまた
かつて若かった苦しみを
知っている先輩たちだった

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