こんな夢を見た/夢は蒸発する
縁起の良い夢も
楽しい夢も
起きた途端に分からなくなる
蒸発するように
見た夢が思い出せなくて
面白かったと思いが数分続いても
続きが見たくても
思い出せないし
普段夢見てたのか
分からないくらい
消えている
きっと思い出すには
難しいストーリーなんだろう
起きた途端に蒸発するのは
今日も生きてるってことだ
起きてしまえば忘れるけれど
明日は覚えていたいな
今日も元気で眠れたら
タイムマシーン
過去を変えたら自分が消える
そんなストーリーは沢山見たけど
両親の離婚を防いだら
どうなっていただろう
どんな空想を重ねても
消えそうになく
意味なく頭の中でぐるぐる
嫌な気持ちが抜けないので
想像したのを後悔した
私の難儀な人生を変えること
そのこと考えるべきだった
誤って人を傷つけた時の
過ちなら変えたいことは
沢山あるのに
特別な夜/二人の夜
夕陽が七色を空に吹き
夕闇が蒼く沈むときから
始まる満月の夜
月は影を作って
湖畔を望むロッジを包む
今年も迎えた今夜二人
結婚記念日おめでとう
お誕生日おめでとう
二度と来ない日なのだから
大事に祝おう
肩を寄せ合って
綺麗だというあなたは
どちらに言ったのかくすぐってみた
海の底/海の底から
目を閉じると聞こえた
海の中を渡る声が
暗い深海から響いてくる
その声は泡に絡め取られて
上ってきた
遠くで響く声で
あなたは繰り返す
響き渡ってくる声が懐かしい
いつから話してなかったか
思い出せないけれど
懐かしい声が聞こえる
記憶の海に沈んだ底から
あなたはどうしているかしら
長い間離れていたけれど
故郷でまだ元気でいるかしら
遠い昔に一緒に
笑った日
泣いた日
思いが泡になって浮かんでくる
海の底に揺れていた思い出が
丸い気持ちで浮かんでくる
目を開けると景色が滲んだ
君に会いたくて/年上の男(ひと)
あなたに会いたい
でもあなたには奥さんがいて
背中はいつも家庭を感じる
妹のようなもの、
と年の離れたひとが言うフレーズは
何の傷にもならないし
わだかまりもないというのに
あの日のハグは何だったのだろう
見つめる目の炎は見間違いだったのか
あなたの手のひらで触れた頬の
情熱をあなたは知っている
あなたはずるい
山茶花に隠れて傘の中
キスした日の
あなたの気持ちが分からない
またね、と言っても返してくれない
でもまた
あなたに会いたいの
あなたに何があっても
私は妹なんかじゃない