絆/春の雨と
春の雨が降る中で
香りに惹かれ振り向いたら
見つけた紅色の花
沈丁花
傘を差し掛けると
ふわりと舞う香り
知らない路地にひっそりと
咲く花を見つけて
ひと休み
あの人の香りも
振り向くほど強かったが
沈丁花は艶やかで美しい香りだ
あの人と絆を結ぶことはできなかったな
と、思い出して苦笑する
そこまで惹かれた訳じゃなかったか
花を見ながらぼんやりしていた
たまには
天井の模様を見ながら
過ごしてきた
春だというのに
涙の跡が
起きたら出てる
これでいいとは
思ってない
たまには
土手のある
川のほとりで
詩を編みたい
横を向いて
出かけられない
苦痛を苦痛としない
自分を慰めてる
春だというのに
変われない
大好きな君に/生存確認
春の空に向かって
まだ会えないの?
って言ってみる
なかなか会えなくて
メールの行き来
が同じような文面
言葉少ない人だけど
心に不安が刺さって
細かく傷んでる
信じてないわけじゃない
お互いいい歳だ
いつ死ぬか分からないから
顔が見たいよ
黙っていても
分かり会える
近さが欲しいな
今は遠いよ
ひな祭り
段飾りのお内裏様
お雛様の被り物が止まらずに
父がイライラしてたっけ
今の流行は2段まで
3人官女がにっこりと
大臣達はどこ行った
長持なしは今風だ
松屋町の人形店を巡ったのも
ずいぶん前だなあ
たった一つの希望/本当の希望
ピンクのペツォッタイトが薄く輝くのを
手のひらに乗せてにっこりしてる
天然石屋さんの
ウィンドウに恋のグラスと
タグが付いた石を
衝動買いしてしまった
今
思いが開く
透き通った優しい宝石が
気分を上げる
桜の花びらが散る前に
固めたように
ふんわりと薫る色
嬉しくて
伝えたくて
恋人のような
純露のキャンディみたいな
思いを言ったら笑われるかな
ペツォッタイトの色に誘われて
甘えてみたい
あなたのいつもの帰って来たよメールに
ピンクの石の力に頼って
本当の気持ちを伝えたい
思いがひとつでも伝わるといいな