ずっとこのまま
ずっとこのまま、なんていや。
ちょっとでも変わりたい
ひと言ひと言、一筆一筆
とても遅くても
こころが動くから
ずっとこのままではいられない
もう端に火がついてる
寒さが身に染みて/あの頃は若かった
夕べから降り始めたボタ雪が
今朝早くに吹雪いてきた
空は薄墨色に鈍い
今日は成人の日、
遠い昔の思い出に思い致せば
一緒になったあの人を思い出す
二人とも成人式にはゆかず
二人だけの結婚式をあげた
若過ぎると反対されたけれど
私たちは幸せだった
朝も夜もお互いの顔が見え
寂しさにメールすることも要らない
行ってきます、という声が
温かいのだから
。
。
それから幾十年、何が悪かったのか
今は薄くまぶたの裏を覗いてみても
お互いに
寒くなった寂しさよりも
一人になりたい二人だったのかもしれない
今は堪える
あの人は今頃
、、
20歳/若い日々
新人のとき
心が乾き砂に滴るような
雫が集まって流れになるまで
たくさんの雨を必要とした
曇る日もあり晴れる日もあり
先輩たちの励ましと
同期との賑わいが
二十歳の日を通り過ぎた
二十歳とは
若さという強さと傲慢
弱いもの知らずな手足
分け入る社会の激しい海
で漁をする若者の一人として
賢明に手足を頭を動かす時
もがく日々だった
失敗して落ち込んで、たくさん
酒を飲んだ
愚痴る相手がなくても
酷く疲れても
ひと眠りできれば何とか
苦しい暗い道に迷い込んだとき
起き上がれないとき
支えてくれた仲間もまた
かつて若かった苦しみを
知っている先輩たちだった
三日月/月と酒
夕暮れの陽が彼方に逝く前
三日月が残光を受けて残酷な目
で看取る
寒さが背筋を通って
両手の隙間から息が漏れるから
今夜は酒でも飲もう
暖かい部屋から窓越しに
月と酒を交わす
熱燗と湯豆腐で温める懐に
肴が落ちていくとき
彼は少しずつ上っていく
ほろ酔いのまま上る景色はどうだい
俺はまだ飲み足りないようだ
尤も明日は休日だから
炬燵に移って飲むのも良い
ひとり酒だ、誰に何を言われるでもなし
色とりどり/色打掛
娘が選んだ打掛は咲き乱れる花
華やかな柄があの子らしくて
笑顔で振り向いた姿にふっと笑う
似合うわよ。
結婚するから、挨拶行くねと
LINEしてきて電話した日
も突然で叱る間もなく
その彼と会った日も
嬉しそうに笑む顔
若さ輝くよう
そんな年になったのね。
子どもってずっと大きくならないで
側にいると思い込んでたら
子どもらしい笑顔から少し
大人の匂いがして
とうとう嫁いでいく
色とりどりの花を纏って
大人の顔で結婚するのね
本当に私の娘かしら
あっという間に寂しい気持ち
嬉しい筈なのに泣いてしまいそう