雪/夕べ
寒さが強い夕べ
薄曇りの空から雪が降りてきた
底冷えする足元に落ち
風に吹かれて溶けてしまう
暖かい家も家庭もない身には
胸までもじわりと冷えて
両手をポケットに突っ込んで
どうしても下を向いてしまうよ
雪国より胸の中は冷えてたまらない
君と一緒に/ 二人の舞台
舞台に立ち君の手を差し出す一瞬
背中に電流が走った
スイッチが入ったのだ
楽団が刻む音色に息が混じる
靴音高く、重ね握る手に軽やかなリズム
を乗せて
他の踊り手にぶつからぬスレスレ
君を抱き寄せ歩調を合わせる
舞踏は汗が流れ落ちるほど激しさを増し
、
君が美しくピボットを打つ
胸を弾ませ合わせてクニータ
ガンチョで絡まる脚
頭の中は空っぽにして踊ろう
君の笑顔が見たい
僕たちのありったけの舞い
舞台は拍手に包まれる
踊り終えて抱き合った熱い体と君の笑顔
が今日のご褒美だよ
雪晴れ
除雪車が通った後の残された氷を割っては積む
青空はうず高く積まれた雪山に
日を反射して光で満ち溢れる
朝が連れてきた久しぶりの晴天、青い空
早朝の背中を冷やすこともなく、黙々と
脇に寄せる人の目を灼くような
燦爛たる日光
こんな朝は胸を清々しくするけれど
時々背筋を伸ばすほど私たちの労働を促していて
早朝の忙しさを重ねさせる
怠惰に身を任せていられない
雪国の空は薄暗い日々が続く
屋根と道が雪で埋もれていく
乾いた喉、捲れる唇、人々の歩みは遅い
黙々と人々が俯きながら道を行く
しかし雪晴れの朝は忙しく動き
私たちに雪国の喜びを繋ぐ
ふうふう言いながら雪を寄せる晴れの朝
私たちの営みを見つめる太陽の優しい目
お天道様が見ているよ
そんな陽に微笑み返す
幸せとは
世界が覗き込むのを煩わしいと思った
遠い記憶だけの人陰は曲り角の向こう
唇を読むような分からない文脈よりも
文章は裏切らない
見知らぬ人では上手くいかないけれど
会ったことがあるなら
文章の文脈に表した言葉が
集い寄せ合う撚り糸は細いようで強い
本当は孤独ではなく
苦しまず生きられる胡坐なのかもしれない
編み込まれ許された囲炉裏の円座
生きる目的が見えなくても
生かされている緩く心地よい炎
日の出
まだ空が明けない山に、熊笹が深雪に埋もれ雪を乗せて眠っている。
谷は新雪が積もり空の中へと駆け上がっており、
テレマークスキーで登る山道は、獣の足跡も見えず
わたしの逆ハの字だけが後に続く。
天然のゲレンデが薄く輝き出して、雲の陰から日の光が少しずつ、黄金に染めながら現れてきた。
闇が退き輝ける朝
空気は新雪と光に満ち
今日という日の出は喉から胸に入り込み
佳き日を開くのだ。
なんという孤独だろう
爽やかに自由を結び
空高く上るように
山の厳しい掟がありながら尚
孤立ではない。