伊藤透雪

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1/8/2026, 9:05:24 AM

雪/夕べ


寒さが強い夕べ
薄曇りの空から雪が降りてきた
底冷えする足元に落ち
風に吹かれて溶けてしまう

暖かい家も家庭もない身には
胸までもじわりと冷えて
両手をポケットに突っ込んで
どうしても下を向いてしまうよ

雪国より胸の中は冷えてたまらない

1/7/2026, 6:00:18 AM

君と一緒に/ 二人の舞台


舞台に立ち君の手を差し出す一瞬
背中に電流が走った
スイッチが入ったのだ

楽団が刻む音色に息が混じる
靴音高く、重ね握る手に軽やかなリズム
を乗せて
他の踊り手にぶつからぬスレスレ
君を抱き寄せ歩調を合わせる
舞踏は汗が流れ落ちるほど激しさを増し

君が美しくピボットを打つ
胸を弾ませ合わせてクニータ
ガンチョで絡まる脚
頭の中は空っぽにして踊ろう
君の笑顔が見たい

僕たちのありったけの舞い
舞台は拍手に包まれる
踊り終えて抱き合った熱い体と君の笑顔
が今日のご褒美だよ

1/6/2026, 4:28:41 AM

雪晴れ


除雪車が通った後の残された氷を割っては積む
青空はうず高く積まれた雪山に
日を反射して光で満ち溢れる
朝が連れてきた久しぶりの晴天、青い空

早朝の背中を冷やすこともなく、黙々と
脇に寄せる人の目を灼くような
燦爛たる日光
こんな朝は胸を清々しくするけれど
時々背筋を伸ばすほど私たちの労働を促していて
早朝の忙しさを重ねさせる
怠惰に身を任せていられない

雪国の空は薄暗い日々が続く
屋根と道が雪で埋もれていく
乾いた喉、捲れる唇、人々の歩みは遅い
黙々と人々が俯きながら道を行く

しかし雪晴れの朝は忙しく動き
私たちに雪国の喜びを繋ぐ
ふうふう言いながら雪を寄せる晴れの朝
私たちの営みを見つめる太陽の優しい目

お天道様が見ているよ

そんな陽に微笑み返す

1/5/2026, 4:37:24 AM

幸せとは


世界が覗き込むのを煩わしいと思った
遠い記憶だけの人陰は曲り角の向こう
唇を読むような分からない文脈よりも
文章は裏切らない

見知らぬ人では上手くいかないけれど
会ったことがあるなら
文章の文脈に表した言葉が
集い寄せ合う撚り糸は細いようで強い

本当は孤独ではなく
苦しまず生きられる胡坐なのかもしれない
編み込まれ許された囲炉裏の円座
生きる目的が見えなくても
生かされている緩く心地よい炎

1/4/2026, 9:17:29 AM

日の出


まだ空が明けない山に、熊笹が深雪に埋もれ雪を乗せて眠っている。
谷は新雪が積もり空の中へと駆け上がっており、
テレマークスキーで登る山道は、獣の足跡も見えず
わたしの逆ハの字だけが後に続く。
天然のゲレンデが薄く輝き出して、雲の陰から日の光が少しずつ、黄金に染めながら現れてきた。

闇が退き輝ける朝
空気は新雪と光に満ち
今日という日の出は喉から胸に入り込み
佳き日を開くのだ。

なんという孤独だろう
爽やかに自由を結び
空高く上るように
山の厳しい掟がありながら尚
孤立ではない。


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