静かな終わり
お互いの目が合った
久々の仲間とパーティで
冗談に笑っていたとき
食事をし再び杯が上がったとき
さざめく人々の向こう
と何度も目に入る目
解散のそぞろ歩き、またねと呼ぶ声
駅へ向かう私の後ろから足音高い人
並んだ時に彼だと分かった
、
「たくさん目が合ったね」
「ちょっと話さないか」
こっちをしっかり見る目が光っている
いつの間にかワクワクしだして
そうね、と口から出たあと
派手なライトが光る街で
手を繋ぐでもなく歩く
*
彼の胸を撫でながら
いつから、いつまで、訊く事は
天井のライトに滲み
やがて駆け上がる血液、弾む身体
荒いため息の後
に仰向けで衝動のあとをなぞる
口づけひとつ
ふたつ、みっつ
その後を思い返すほど長くはない
後向きでストッキングを履く時に
背中に掛かる声が甘い
ここから始まる恋が
長く続くと思うほど若くはない
明日ではないけれど
静かに去っていくひとが浮かぶ
でも
、
素敵だ、のひと言に
今は夢中になっていたい
心の旅路
私はできる。
やる事がいっぱいあって、
全然眠くない。
夢中に無心にやっていこう。
何だか心が元気に満ちあふれてる
楽しい毎日。
今日も明日も
昨日より今が一番大切なの
何がいけないの、
ちゃんとやってるじゃない!!
あれもこれもいつも
出来ていた筈なのに
何故出来なくなってるの
私ってこんなにできなかったっけ。
眠くてだるくて力が抜けてく
今はできないの、
昨日もできなかった。
*
できなくなって何年経っただろう
まだ寝付きは悪いし
ずっと薬は要るし
人生真っ逆さま
出来ていたあの頃と正反対の
日常はこんなにも無愛想
生きている、が薄く張り付いていて
自分を抱きしめても
今しか分からない
昨日のことも明日のことも
陰っていて見えない
凍てつく鏡
凍りついた世界の
森は木々が白く包まれ
白銀には獣の足跡が見えているのみ
大きな角を持ち逞しい体躯の大鹿
がゆっくりと歩いている
かんじきを踏みしめ新雪を進んでいくと
目の前で大きく跳ねた大鹿に驚いた先
には大きく開けた静かな空が見え
、
風が吹いてめくれた雪の下
足元が固いのに気づいて見ると
ブラックアイスバーンだ
沼もチリチリと凍ったのだろう
私の影が映り込む
映る空の色も青く輝いて
凍る世界に光を反射している
頭を上げれば向こう岸に
白樺と松の森が見えた
みっしりと高く伸びている木々
が行き止まりの暗がりを成している
沼の雪が吹かれ、
表面は空の色を映していて綺麗だ
罠を見回るのもひと休みして
背嚢からスキットルのウィスキー
を取り出し一口含む
獲物もよく捕れた
今日は気分が晴れやかだ
雪明りの夜
軋む雪道を歩く
鼻を突き上げる寒さを
両手袋で覆いながら
私は今日家族と別れ
ひとり街に出る
新しい生活を作り
前へ進むために
見上げる空に三日月
が煌々と光り
早々と暗くなった雪国を
見下ろしている細い目
足元が微かに白く浮かび
足跡をくっきりと見せる
後悔しないか
出ていく寂しさを置いていく心
の隙間に明日を埋めよう
顔を上げて白い息をはいた
祈りを捧げて
ヒトは祈る
上手く行きますように
鎮まり給え
御守り給え
ありがとうございます
の祈りは少ない
時間は進むのに
過去に怖れ
災いの元を決めたがる
今日も生かせていただきありがとうございます
の時代が来るのを
祈る人々が増えますように
ヒトは時間にも祈る
できないことは後回し
祈りが永遠の文明になるには
ヒトの進化を待つしかない
祈らずに
重ね合う思いやりの上に築く
気の遠くなりそうな時間の先に
世界に
後回しせずに祈りを捧げよう