長月より

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6/18/2023, 10:14:22 AM

落下

早苗「文化祭でバンジージャンプ体験とかできたら面白そうじゃないか? 三階の渡り廊下からやればできそうな気がするんだが──」

翔吾「落ちるか壁に激突するかが関の山だからやめとけ」

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寝ている時にたまに感じる落下感は「ジャーキング」という名前があるそうですね。はじめて知りました。

6/17/2023, 11:58:48 AM

未来

 ショーゴくん、未来の話をしようじゃないか。

 何? 先の事を考えても意味はない? それよりさっさと反省文を書け? まあ、まあ、待ちたまえ。ちゃんと反省文は書いているよ。ほら、ご覧。あと数行で三枚目の紙が終わる。確か原稿用紙三枚程度だったよな? もう終わりは見えてきているじゃないか。だから、これはほんの息抜き、箸休め程度の軽い話しなのさ。

 話してもいいかい? ありがとう。君ならそう言ってくれると思っていた。そう、未来の話だよ。もしも、という可能性の話さ。

 人はいつか、死ぬだろう。僕か君か、どちらかが先に死ぬはずだ。いや、死ぬ前に別れてしまう事もあるかもしれないな。

……そう怖い顔をしないでくれよ。これは別に悪い話じゃないんだ。

 続けてもいいかい? うん、じゃあ続けよう。もしかしたらこの先、君となにかしらの理由で別れることがあるかもしれない。それが死別か、普通の別れかはわからない。喧嘩別れすることもあるかもしれないな。なんにせよどこか遠い未来で僕は君の前から姿を消すことがあるだろう。隣に君がいないなんてこともきっと起きるはずだ。

 でも、もしそうなったとき、ふりかえって見たら、いい思い出だったって僕はなって欲しいんだ。僕がいなくとも君は僕を思い出して、ああいい日々を送ったなと面白かったと思って欲しい。

 だから、そうだな……。あー、いや、なんだろう。言おうとしたけど、少しむず痒くなってきたな。
 え? そういうのはいい? いや、いや、よくないよ。実に、よくない。そもそも君はさっきから僕の話しをおりすぎだぞ。もう少し、黙って聞くとかそういうことはできないのか?

 いや、まあいい。要するにだな、僕は君にとって良き思い出だったとそう思って貰いたいんだ。綺麗にラッピングされた輝かしい青春の一ページに名をはせたいんだよ。それで、君にとってどうすれば僕と君との思い出が一番良い思い出になるか考えていて、何を言えばいいのか、思い付いたんだ。

 と、言うわけで、目を瞑っていてくれ。僕が良いと言うまで開けるんじゃないぞ。

……って、なんで目を瞑ろうとしないんだよ。というかなんだよその顔は。君そんな顔できたのか。

 いや、というかなんで君ちょっと乗り越えてこっち来ようとしているんだい? いや、待て。本当に待て。察しがいいのは助かるが私の心の準備をさせてからにしてくれたまえ! おい! 聞いているのか! いや、本当ショーゴくん、聞いて聞いて!

──ああ! もう! 君が待てないのはわかった! わかったから、これは近い未来までお預けだ! あばよ!

……って、追いかけて来るなー!

6/16/2023, 10:50:33 AM

一年前


早苗「一年前か。僕らが何をしていたか覚えているかい?」

翔吾「担任とお前の鬼ごっこに付き合わされてさんざんだった」

早苗「懐かしいなあ。あの時は缶けりをして遊ぼうと自販機のゴミ箱を漁っていたんだったな」

翔吾「それでてめえが缶けって担任の背中にクリーンヒットして怒られたんだろうが」

早苗「ええ、違うよ。ける前に怒られて僕が先生が鬼だよと言ったあとに缶けって逃げたんだよ。僕は先生に当てていない」

翔吾「そうかよ。で、逃げてたら俺を見つけて一緒に逃げるぞ~! って引っ張って逃げたと」

早苗「君も缶けりに加わりたいと思ってね。なかなかよかっただろう?」

翔吾「よかねえよ。ただでさえ入学式に目ぇつけられてたのにあれからお前のお守り役押し付けられるようになったんだぞ」

早苗「ふふ。でも、君といると楽しいし飽きないからそれで良かったと僕は思ってるぞ」

翔吾「ふーん、そうか。ところでよ、お前今日は何しようとしてた?」

早苗「え、あーちょっと、野球部の子にバットを借りてホームランを打とうとしたらバットがすっぽぬけてしまった選手の物真似をしようとしてたところで──」

翔吾「ほー。そうか。バット返してこい」

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学生の頃は一年前って、めちゃくちゃ懐かしいと思いながらこんなことしたよね~と楽しそうに語っていたのに、大人になってからの一年前はつい昨日の事じゃないのか? あれ? と思うことが増えてきました。

6/15/2023, 12:06:04 PM

好きな本

早苗「ショーゴくん、国語の先生から好きな本を紹介しろと課題が出されたが、君はもう書き終わったかい?」

翔吾「あー。まあぼちぼち。お前はどうなんだよ」

早苗「ふっ。この国語大好きな僕が課題が終わっていないわけないだろう?」


翔吾「そうかよ。で、なんの本にしたんだよ」

早苗「その言葉を待っていた! これだ!」

翔吾「……お前、これ、児童書だよな」

早苗「れっきとした本だろう?」

翔吾「お前なら古今集とか万葉集とかそっちを選ぶと思っていたわ」

早苗「確かに、僕は和歌も好きだ。古典、近代、現代のみならず歌というものをとても好んでいる。だが、しかし、それよりもこの本を他人に紹介したい程度には好きなんだ。見てみろ、この本の表紙。鮮やかな赤だろう。これはとても目が引くようにできているな。そしてこのタイトル。とてもよく耳に残ると思わないか? それから……」

翔吾「あーわかったわかった。お前がその本を好きなのはわかったから口じゃなくて文章でくれ」

早苗「手紙を書けばいいってことか!」

翔吾「てめえの課題をみせろって言ってんだよ」

———

好きな本は色々ありますが、今の自分は地元の郷土史が好きだったりします。

6/13/2023, 11:09:15 AM

あじさい

早苗「あじさいっぽい色合いのゼリーを食べ、雨の日に蛇の目傘をさしてあじさいを愛で、これ以上あじさいをいつくしむにはどうすればいいのか
僕はおおいに悩み思案していたが、今ちょっとひらめいたぞ!」

翔吾「何すんだよ」

早苗「手紙を書こうと思う」

翔吾「手紙ぃ?」

早苗「手紙とは、用事などを書いて相手に送る文書のことである」

翔吾「いやだからなんであじさいに手紙を送るんだよ」

早苗「拝啓 梅雨空のうっとうしい毎日、いつも美しく咲き乱れていらっしゃいますあなたはいかがお過ごしでしょうか」

翔吾「時候の挨拶を考えんじゃねえ」

早苗「ショーゴくん、君、さっきから文句ばっか言ってばっかりだな。もう少し真剣に話しを聞いてくれてもバチは当たらんと思うぞ」

翔吾「真剣に考えてそれなら俺はお前の正気を疑う」

早苗「む。なら君は手紙を書くよりもいい案が出るということだな」

翔吾「いい案はねえよ。ただ普通にあじさいの花を絵手紙にするとか歌を詠むとか色々あんだろ」

早苗「ぐっ、負けた……。思ったより普通だけど雅なことを言うじゃないか!」

翔吾「これ勝ち負けあったのかよ」


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最近どこでもあじさいを見かける季節になりましたね。
そして本日ある方から「あじさいは雨が降っているときこそ美しい」みたいな話しを聞きました。
個人的には、雨粒がついたあじさいは確かに美しくて素敵ですが、晴天の中に咲くあじさいも好きです。

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