行かないで
一ノ瀬「そ、そんな! 行かないでくれ!?」
翔吾「無理だな」
早苗「ああ。ムリだ」
一ノ瀬「頼む! 人助けだと思って!」
早苗「そうは言ってもなあ」
翔吾「無理なもんは無理だろ」
一ノ瀬「いや、いけるいける。二人はただ、そばにいて俺を見守ってくれるだけでいいんだ」
早苗「……確認だけど、君、今手に持っているものは?」
一ノ瀬「弁当箱!」
翔吾「で、いつから持って帰るの忘れたって?」
一ノ瀬「……一週間」
早苗「さよなら」
翔吾「さっさとゴミに捨てて来い」
一ノ瀬「待って! 本当に頼む! 弁当箱を洗うまでとは言わない。せめて、せめて中を一緒に見るとこだけでも……!」
どこまでも続く青い空
早苗「空が青いなあ」
翔吾「そうだな」
早苗「どこまでも青い」
翔吾「雲がないからな」
一ノ瀬「な、なんて気の抜けた会話なんだ……!?」
栢山「のどかだなあ」
衣替え
早苗「秋だ! 学校だ! 衣替えの季節だ!」
翔吾「見りゃわかる」
早苗「おっとショーゴくん。ダメだぞ。野暮な事を言うのは」
翔吾「それ以外に言うことねえぞ」
早苗「あるだろ。もっとこう……」
翔吾「急に固まるな」
早苗「……なんてこった。ショーゴくん。僕はなんてつまらない事をしたんだ」
翔吾「何がだよ」
早苗「衣替えだぞ。もっとこう、普通にブレザーじゃなくて別のものを着れば……」
翔吾「担任の胃に穴が開くからやめろ」
眠りにつく前に
眠りにつく前に、君と話ができたらいいな。
それだけで今日は良い一日だったって思って眠れるんだ。これほど幸せなことって、多分ないだろう?
永遠に
早苗「この世界に永遠と言えるものはあるのだろうか」
翔吾「またえらく哲学的なものを言い出すな」
早苗「哲学的。そう、哲学的に言えばこれは永遠と言えるものが存在するのかという問いは永遠に存在するのかと言えて――」
翔吾「やめとけ。その言い回しだとバカっぽく聞こえっから」
早苗「は〜! 僕がバカだって言いたいのかい? だったらそんな僕の話にいつも付き合う君は大バカ野郎って事じゃないか!」
翔吾「そうかもな」
早苗「ぎっ」
翔吾「なんだその声」
早苗「き、君、自分が言っていることをきちんと理解しているのか!? ああもうなんだよ調子狂うなあ!」
一ノ瀬「あの二人また夫婦漫才してんね」
栢山「永遠にやってろ〜って感じ?」