風のいたずら
早苗「風のいたずらで髪がなびくことがあるが……」
翔吾「髪が長いやつは大変だな」
早苗「僕はまだ何も言ってないぞ!」
翔吾「さっき横長を見てただろ」
早苗「見たよ!? 横長さんを見たけど!? でも、それと僕が言おうとしてることは関係ないかもしれないぞ!?」
翔吾「じゃあなんて言おうとしたんだよ」
早苗「……顔に髪が当たって痛いし、前が見えなくなって辛いし、髪がボサボサになるから不便だよな」
翔吾「んだよ。合ってんじゃねえか」
早苗「いや、こういうのはだな。相手が話し終わってから返すのが大事で――」
栢山「もう〜! 一ノ瀬この風ヤバくない?」
一ノ瀬「なんてこと! あたくしたちのお髪がボサボサになりましてよ〜」
翔吾「ヅラとんでってんぞ」
早苗「急に話しの途中で入ってきてびっくりしたじゃないか。あと、なんでギャルとお嬢様なんだい? しかもなんかちょっと惜しい感じの」
行かないで
一ノ瀬「そ、そんな! 行かないでくれ!?」
翔吾「無理だな」
早苗「ああ。ムリだ」
一ノ瀬「頼む! 人助けだと思って!」
早苗「そうは言ってもなあ」
翔吾「無理なもんは無理だろ」
一ノ瀬「いや、いけるいける。二人はただ、そばにいて俺を見守ってくれるだけでいいんだ」
早苗「……確認だけど、君、今手に持っているものは?」
一ノ瀬「弁当箱!」
翔吾「で、いつから持って帰るの忘れたって?」
一ノ瀬「……一週間」
早苗「さよなら」
翔吾「さっさとゴミに捨てて来い」
一ノ瀬「待って! 本当に頼む! 弁当箱を洗うまでとは言わない。せめて、せめて中を一緒に見るとこだけでも……!」
どこまでも続く青い空
早苗「空が青いなあ」
翔吾「そうだな」
早苗「どこまでも青い」
翔吾「雲がないからな」
一ノ瀬「な、なんて気の抜けた会話なんだ……!?」
栢山「のどかだなあ」
衣替え
早苗「秋だ! 学校だ! 衣替えの季節だ!」
翔吾「見りゃわかる」
早苗「おっとショーゴくん。ダメだぞ。野暮な事を言うのは」
翔吾「それ以外に言うことねえぞ」
早苗「あるだろ。もっとこう……」
翔吾「急に固まるな」
早苗「……なんてこった。ショーゴくん。僕はなんてつまらない事をしたんだ」
翔吾「何がだよ」
早苗「衣替えだぞ。もっとこう、普通にブレザーじゃなくて別のものを着れば……」
翔吾「担任の胃に穴が開くからやめろ」
眠りにつく前に
眠りにつく前に、君と話ができたらいいな。
それだけで今日は良い一日だったって思って眠れるんだ。これほど幸せなことって、多分ないだろう?