_星空_
なかなか眠れずにいた私は今日もこっそり抜け出して、周辺の、夜道を歩いていた。
上を見上げると、雲ひとつない、あたり一面に星が散らばっていた。私は思いっきり空を仰いだ。
毎日毎日、苦しい日々の繰り返し、もう、疲れてきちゃった。皆んなは私を頑張って生かしてくれるけど、正直、私はもうどーでも良くなってる。
ほっといてよって感じだな。…本当に。
ふと我に返って、少し急足で建物の中に入っていった。
暗い廊下を歩いていると、もう皆は寝ているみたいだ。
管理人さんにバレないように、静かに戸を開け
病室に入った私は、自分のベッドに横たわった。
窓からは、また、星が私を照らしていた。
明日も、頑張れって。
_夏_
夏になると、必ず誰もがしたくなるよね。
"青春"、私は別に普通の日常が続けばそれで良いと思う。
夏休みに入って、ダラダラ過ごす毎日が繰り返されていく。
私だって実は何処かで青春をしてみたかった。
コレが青春なんだって思いたい。
……。
そこで私は止まってしまった。
そもそも青春の基準ってなんなんだろ。
沢山面白いことをして、友達とバカすること?
海に行ったりして、黄昏れること?笑
よく分からない。どうしたら青春になるのかな。
友達に聞いてみたら、笑いながら答えていた。
青春は今、ずっとここにあるんだって。
何言ってんのって思ったでしょ。
友達と雑笑するだけ、一緒にあっつい中勉強すること、
友達と遊ぶ計画を立てること、ダラダラLINEで友達と雑談すること。
全てがかけがえの無い、一つの青春なんだ。
私達はずっと青春をしていたんだ。
…今年の夏はどこに行こっかな。
_ここではないどこか_
現在高校二年生の私は、隣町の高校に通っているため、
登下校はよく電車を使っていた。
電車に乗っている20分間は意外にも長く感じて、
私はその空き時間に良く本を読んでいた。
本を読んでいる時はあっという間に終点についていて
電車通学で欠かせないものは小説一択だけだった。
ある日、朝寝坊して急いで家を出て行ったところ、なんとか電車には間に合ったが肝心の小説をリュックの中に入れるのを忘れていた。
これじゃあ暇だよぉ…。スマホでも見る…?いや、私あんまりスマホ見ないタイプだった…。
暇で仕方なく、席に着いて、周りの人々の仕草を観察して楽しんでいた。
周りの大人達、高校生は皆スマホの画面を見つめている。私みたいに本を読んでいる人なんてそうそう居ないんだなぁ…
そう思っていた瞬間、私の目に入ったのは、同じ高校の制服の人。制服のネクタイからして先輩かな…?
なんと、その先輩も私と同じく本を読んでいた。
しかも同じ作家の…!
こんな人混みの中、じっくりと本を読んでいるその姿は、何だか私には愛らしく見えた。初めて会った人なのに、その人の事が気になってしかたなかった。
本も好きで、作家も一緒だなんて…ふふっ趣味が合うのかも
など、呑気なことを考えていたらあっという間に終点の場所。早く降りなきゃ。
…明日も会えるかな?
いつか話して見たいな。
月日が経ち、
三年生になり、受験シーズン。
猛勉強中で、本なんか読んでる暇はないため、いつもと同じようにこの時間帯だけ特別な時間だった。
あの時、彼、先輩に声を掛けなければ、今頃ずっと後悔していた。
そして私は何処かで期待の心を持っている。
また、この電車の中で、巡り会えるかもしれない。
また、話せるかもしれない。
ここじゃなくてもいい、ここではない何処かで、また。
彼とお話がしたい。
その為には、やっぱり彼と同じ大学に行かなきゃいけない。
たまたま私が勇気を出して声をかけたあの日、彼に聞いてみたら、彼も私と同じ所の大学希望だった。私は凄く嬉しかった。受かったら、そこに彼がいる。
彼は応援してくれた。受験生頑張れって。
彼は言ってくれた。次は俺から話しかけるねって。
待ってます。次、ここではない何処かで会える日、それまで
精一杯の実力を出して、大学受験、受かってみせます…!
_君と出会った最後の日_
君と初めて会ったのは、登下校使用の電車の中だった。
沢山の人の流れができている中で、すれ違った見覚えのある制服は、自分が通っている高校そのものだった。
制服からして、年下か?
同い年にこんな人いたっけ…?
それにしても、可愛いな…
彼女は、いつも同じ席に座っていて、人々は皆スマホに夢中になっている中、彼女だけが静かに小説を読んでいた。
俺はそんな彼女がいつしか目が離せなくなっていた。
彼女の趣味と合わせるためにか、いつのまにか俺も電車の中で本を読むようにしていた。
桜が咲き始めた三月。とうとう明日は俺ら三年生の卒業の日だ。
電車の中で彼女と言うものを見つけ、一目惚れして、ずっと話せないまま終わってしまう。
そんな感じで終わって良いのか…?そんな疑問が生まれても、俺は黙って何もできなかった。
あぁ、今日で本当に最後なんだ…。
そう実感して、諦めたその時。後ろから見知らぬ声が聞こえてきた。
「あ、のっ…先輩…今日で卒業ですよね、?その、良ければ、私がいつも読んでるこの本、受け取ってくれませんか…?きゅ、急にすみません…っ!」
彼女だった。
え、な、なんで、彼女から声かけられたんだ?
普通逆じゃないか…?
「えっあ、い、良いんですか…?」
「あっえっと、話した事ないのにすみませんっ…その、ずっと気になってて…読んでいる作家が同じだったので…、一度話して見たいな…って。」
嘘…。
彼女から、しかもずっと話して見たかった。なんて…
てか俺情けないな?!先輩の癖に年下の彼女が話しかけなければ俺らの関係一切無縁だったぞ?!
「あ…っお、俺もずっと話して見たかったんです…!その、貴方とは違う意味で…。な、なんてね、ははっ」
うぉぉ、何言ってんだ俺。
「…話しかけてくれてありがとう。すっごく嬉しい。でも、今日でもう、会うのが最後かも知れないから…遠慮なくその本、受け取っても良いかな…?」
「…!良いんですか…!これ、凄く面白いんですよ!」
それから、最後のときまでずっと雑談をしていた。この時間が終わる、最後まで。
プシューーーーーー……
「あ、、降りる駅…ですね。」
「そうだね、今日はありがとう。楽しかったよ。…受験生、頑張れ。」
俺は最後まで、彼女に笑顔を耐えさないで言葉を尽くした。
「はい…っ先輩…またお会いできたら…話しかけますね」
そう言う彼女は、嬉しそうに微笑んでいた。
「あぁ、でも今度は俺から話しかけさせて。」
一年後。それが、今からみて、彼女との最後の話。
四月、君が来るのを期待して良いんだよね。
受験、頑張れよ。
_日常_
俺は、毎日毎日必死に勉強をしている。
将来だとか、今後の成績の為だとか、そんな天才的考えなんかじゃない。
ただ単にやる事がないからだ。
毎日同じ時間を繰り返して、クラスメイトの馬鹿騒ぎを黙って聞いているだけの、そんな空き時間に何をするかって言ったら勉強でしかないだろ。
真面目かよ…俺クソ陰キャじゃん…。
まぁ、それなりに毎回テスト順位はトップの座に立っているが、別に一位を狙っているわけじゃない。
新学期になり、またいつもと変わらないクソ平凡な日常が幕を開けるのだ〜…そう思っていた矢先に、後ろから見覚えのある、可愛い?声が俺の名前を呼んだ。
「あ、あのっ…君、テストいっつもトップだよね…?その、もし良ければなんだけど…私に勉強法教えてくれないかな…?今、凄くヤバめで…ハハっ…ダメだったら別に良いんだけどっ…。」
え、あ、は?なになに何か急に話しかけられたんだけど?!
…は?嫌だよ。
屑な返しをするつもりが、コミュ障の性か全く言葉が回らなく、咄嗟に
「い、いい…ですヨ。」
…いや馬鹿じゃん!?ただでさえ話すの何年ぶりだよ!?まぁ先生とかグループ活動ではそれなりに一言二言話してますけど?!しかも相手考えてみろ!!
女子だぞ?!クラスで人気そこそこのある、あの女!!
「やったぁ…っ!あ、私の名前分かるよね?ヒナだよ!…ふふ、そりゃあわかるか…へへ…。」
なんだなんだ、凄い話勝手に進めるじゃないか。
そういや名前…ヒナだったのか…。
「えぇっ…と…俺は何をすれば良いんですカ…。」
「ふふ、そんなに固くならなくてもいいよ〜、ええと、私にテスト勉強の仕方とか、教えて欲しくてね…。」
ただでさえこんなに目立つ人といたら俺、めっちゃ目立つやん…。
「な、なぁ、やっぱり、放課後とかでいいか…?」
「えっ…あ、うんっもちろんいいよ…!ありがとね。」
うぉ、褒められたんだけど…あんまし慣れないなこれ…。
放課後になり、2人でクラスに残り、勉強を広げた。
「…一つ聞いて良いか…?」
「ん?どーしたの?」
「…なんで、俺に勉強法を聞くんだ…?他の頭いい奴に聞けばいいのでは…。」
ずっと疑問に思っていた事だ。なにせ、こんなド陰キャに聞いたって話しずらいだけだろうに…。
「…ただ単に君に教えて欲しかったってだけだよ…?」
?!なんだその意味深な表情は…そうだ、絶対からかっているんだ、陰キャ乙〜みたいに。
「…ねぇ、勉強会終わった後って暇?…最近人気のカフェ屋がオープンしてさ…っ!帰りそこ寄らない?…うん賛成!」
待て待て待て…俺はまだ何も言っていない…。
というか、これって…放課後デートってやつか…?いやいや、今日話したばかりのやつとそれはないって…距離感保つってのないのかコイツは…。
「ってもうこんな時間なんだ…っ!カフェ屋閉まっちゃう!一緒に行こう!」
「え、えちょちょ、まってよ…ちょぉぉぉっ!!」
「アハハっwそんな大声出せるんだぁ〜w」
しまったっ…!何してんだ俺ぇぇ明日放送で全校に流されるぅぅ。
「ふふ、これは私しか知らない事だよね…?」
「ん…?ま、まぁ、そうだけど…。」
どう言う事なんだよ…っ。
で、その後無理やりそのカフェに連れて行かれ、今一緒にレジに並んでいるところですね。
「…俺らって一切関わりなかったよな…?なんでこんな急接近してくるわけ…。」
明らかに呆れてる調子で言ってみたら、彼女の表情が雲がかかった。
「あ、…ごめんね…今日、君の話とか聞かずに勝手に進めちゃって…。」
その通りだわ…、
でも、そうなんだけど…なぜかすごく楽しいと思えた。
「…俺さ、ずっと教室の隅で勉強してる真面目陰キャだけど…本当は、こんな感じで…放課後誰かと遊んだり…雑談して笑い合ったり…そんな事が…一度でもいいからしてみたかった…。だから…っ今日、一日ちょっとだけ…た、楽しかった…んだと思う…。」
絞り出すように言うと、彼女はポカンとしたような表情をして、口を微かに開けたままにしていた。
「ごめん…こんな話されても、ウザいだけだよね…。」
そう謝り、彼女の顔を見ると、少し頬が赤みが刈っていた。
「わっわわ、えぇっとね!あ、うんっそうなんだ…!!」
「え、なになに…ふっ…。」
あ、やべ、笑っちゃった…。
「えっ…ふふ…今日一日で嫌われたかも〜って思ってたから…良かったぁ…。君は一人ぼっちが怖いんだよね?…その解決方法、私知ってるよ。」
俺に嫌われると良くないことがあるのか…?不幸とか気にしてんのかな…
「…そりゃあ、君人気有り余りすぎてヤバいもんな…」
「そ、そこはいいの!……それもそれで、大変何だよ…」
彼女が最後の方ボソッと何かを言ったが俺の耳には全く聞こえなかった。
「…ん?なんて言った…?」
「い、いやぁなんでもないよっで、この解決方法何だけどね!」
「う、うん。?」
そこで、言葉を溜めて太陽のような、優しい笑顔を俺に精一杯向けて言った。
「…今日から私の友達になること…!」
「………は…?」
それからと言うこと、彼女は毎日のように俺に話しかけてきた。LINE交換したりして、度々遊びに出かけたり、やたらと彼女の接近が早かった。俺はいつの間にか彼女と打ち解けていた。
今日はヒナにショッピングに行きたいー!と言われて、言われるままについていくことにした。
「お待たせ〜!待った…?」
「ん?いや、別に…。」
ショッピングモールを自由に歩き回っている所でずっと疑問に思っていた事を彼女に言った。
「なぁ、ずっと気になってたんだけどさ…なんでこんな俺と仲良くしてくれるんだ?」
「えっ…それは、君と仲良くしたかったから…ってだけ!これだけ!以上!!」
「急に大声だすなよ、wまぁ、そっか。…ありがとな。本当に。」
「っ!…あの時、話しかけてよかった…うん…私も、仲良くしてくれてありがとう。」
珍しく彼女の割には静かで優しいトーンで話していた。
「…らしくな。w」
「もう!なによ〜」
月日が経ち…彼女から告白を受けた俺は今、超絶悩んでいる。
彼女が恋人なら、大丈夫だろうと思っている。
じゃあなんで悩むかって言うと、
彼女の事をそんな風に思ったことは一度もなかったからだ。ボッチo n恋愛経験0だぞ?
彼女は、俺の最初の友達だちでもある。その関係を壊したくないと、心の奥底で思っていた。
そもそも彼女からそんな感情を抱かれているなんて全く思ってもいなかった。しかも、ずっと前からだなんて…。
今思えば、俺に対して急接近していたのも、全て計画通りだったのかもしれない。俺と仲良くなるために、そう思えば辻褄があう。
彼女のおかげで、俺の日常は変化されていった。彼女は俺にとって大切な存在だ。
今じゃあ6年ほど付き合っている。そろそろだな。
プロポーズ、今度は俺の番だな。
❤︎エレナって言う人の小説本当に大好きです!○*・