テーマ 永遠の花束
「今日も来たよ〜」
扉で強く音を出して一人の少年がやってきた。
「君はよく僕に飽きないね〜」
光の灯らない少年は来た一人の少年に対して微笑むわけもなく見ていた。
「ねぇ、新しい少女を見せてよ!新しいのが見つかったんでしょ?」
曇りのない笑顔で少年は話した。
「はいはい、じゃあその少女のお話をしようか」
そう言うと机にあった砂時計を逆さにした。
「この宿題写させて!」
そう言い、ケラケラと笑って強引に自分のものを奪っていった少女。
「..あーあ、返ってこなくなっちゃったな」
これで5つ目、でも流石にワークは酷いな(笑)。
「事実に嘘を少々入れて話すのがいいんだよ」
誰かが耳元で話しかけてくる。あぁ、まただ。この声は今いる廊下、家、場所関係なく聞こえてくる。
「あなたは誰!!!」
こんなことを大きな声で言ったとする。でもその後、変なやつとして言われていくに違いない。そんなのは嫌だ。自分は最近は自分が友達と話せなくなってしまった。まぁ原因は目に見えているんだけど。うーん、あの子より多いのにね。
「いないなら奪えばいいじゃない」
後ろから聞こえる。うるさい、うるさい、うるさい。あなたにかまってる暇はないの。耳を必死で塞ぐ。
「ほら、地獄に落としてあげないと。」
あぁ、地獄に落としてあげないと。
『感謝の気持ちを伝えるには何をあげますか?』
黒板に先生が綺麗に書く。
「はいはい!」
元気なあの子が手を挙げる。
「プレゼントをあげます!」
「どういう物をあげるんですか?」
「花や手紙、お菓子などです!」
良い子ぶってるあいつを見ると吐き気がしてくる。
「気をつけ、礼」
「「「「ありがとうございました」」」」
やっと学校が終わった。退屈な学校生活だけど、面白いことを思いついたかもしれない。
「暇じゃないんだけど、何、」
少女がだるそうに見てきた。学校とは大違いだね(笑)。僕の持ってる凶器はすぐに殺せる。だけど、
「これをあげに来たんだ」
凶器を持ってる逆の手で持っていたものを渡す。
「これは...」
「黄色のカーネーションの花束だよ」
少女は驚いている。
「ずっと大切に持っててね!」
めいいっぱいの笑顔とともに少女を刺した。初めて人を殺した。
「だって、死んだら一生忘れないでしょ?」
ね、
少年。
「?、凄い少女だね〜」
「あぁ、凄い記憶だよ、傷一つないんだもの」
そう言って曇った顔の少年は結晶の中に入った黄色いカーネーションを見せた。
「..そうか、君が僕を殺したのか」
さっきまで笑顔だった少年の顔が曇っていく。
「あーあ、ばれちゃった。まぁいいけど」
手のひらにあったその水晶を少年は粉々にした。
「ねぇねぇ、新しい少女見せてよ!」
ほら元通り。だけど、昔の君はずーっと知ってる。
「新しくなっても意味がないよ」
「?」
おわり
テーマ 終わらない物語
「ねぇねぇ、君」
夜十時半を過ぎたくらいの時間、後ろから声がした。まぁ、僕じゃないかもしれないからと思い、振り返らず僕は歩いた。
「ちょちょちょ歩かないで〜」
その言葉と一緒に左側に強い風を感じた。
「...うぅ、寒っ」
そう言うと、ケラケラと笑う声がした。その声がやんだ後、声が聞こえた。
「ねぇ君、死中折幽物語を知ってる?」
その死中折幽物語(しなかおりゆうものがたり)というのは昔、地元で噂として出てきた物語だ。あんまりはっきりと覚えてはいないけれど..最終巻が無いことで地方では有名だったな。まぁ昔のことだけど。
「まぁ..知ってはいます」
「良かった〜最近は知らない子多くてね〜」
今更だったが話し声が聞こえる方向をみてみた。すると、傷と痣でいっぱいになった体で、さらに裸足で歩いている少年がいた。
「...え」
さらにその少年、透けているのだ。これは..幽霊なのかな...。いやいや、そんな事考えているんじゃない、急いで幽霊から離れなければ。あ、思い出した。この流れ、死中折幽物語と同じ。
「そうだ!まだ夜遅くないし〜遊びに行こう!川に!」
そう言われ、手を強く引っ張られながら僕は何処かに行った。
次の日、一人の大人はたくさんのところが折られた死体で川で発見された。
「物語更新だね!さぁーて次に物語になる子は何処にいるかな〜」
はしゃぎながら少年が川から去っていった。
おわり
※死中折幽物語(しなかおりゆうものがたり)は勝手に名前を創り出しました。
テーマ あの夢の続きを
「今日はテストをするぞー」
才能がなかったわけじゃない。
「また78点...」
高得点が取れてるわけでも、かと言って低得点でもない。こういうのを普通って言うと思う。だから僕は普通の人。
「勉強めんどくさいけどしなきゃな」
努力をしている人でもない。しなさすぎてる人でもない。あぁ、僕はやっぱり普通の人なんだな。
ある日、僕は静かな外で歌を歌った。いつものように普通に。その時、
「凄いね!凄いよ!才能があるね!」
一人の人に賞賛された。あぁ、気を使ってくれたんだな。こんな僕は普通なんだから嘘に決まってる。
「うーん、でももっと自信を持って歌ったほうが良いかな」
どうせ才能も努力も無いから意味がない。
「じゃあね〜」
そう言い、手を振って去っていった。今思うとあの時、言われて少しだけ自分を認められて嬉しかったと思う。
次の週、ニュースであの人が死んだ事を知った。事故死だって。
「なぁんだ、君は僕を捨てたんだね」
おわり
テーマ 君と一緒に
一つの山に一つのお人形。いつものように楽しくおままごとをしていたの。親にはここにおいてかれたの。でも大丈夫!お人形が助けてくれたの!
「こんなところで何をしてるの?」
誰かが来たよ。おままごとの邪魔になっちゃうねー。
「じゃま、かえって」
「まぁまぁそんなこと言わず...に」
誰かはお人形をみて固まっちゃった。可愛いから気に入っちゃったのかな。あげないけど。
「ねぇ、早く去らないとどうなるか分かるよね?」
「...っ帰らないと..!!」
急いで帰ろうとした誰か。あぁもう手遅れだね。
「ごぉー」
足音がよく聞こえる。
「よぉーん」
ズルっとコケた誰か。
「さぁーん」
立ち上がる誰か。あぁもう無理なのに。
「にぃー」
あ、たどり着いちゃうかも。
「いーち」
でも残念、出口は上だよ。ここの山は普通じゃないから。お人形が守ってくれてるの。
「ぜぇーろ」
さようなら。
少女は眼も手も全てが散り散りになった人形とは言い難い物持っていた。
おわり
テーマ 冬休み
「これで終業式を終わります。礼。」
終業式の終わりの言葉が体育館に響き渡った。
「やーっと冬休みだー!!」
下校の時間になった瞬間、あいつが大声で叫んだ。
「はしゃぎすぎ」
「あいてっ」
「じゃあ冬休みにな!」
元気にあいつがそう言うと、僕らは家の前で別れた。家は近いとは言い難いがすぐに行ける距離ではある。
ー 12月??日 ー
遅く起きたな。まぁ冬休みだから大丈夫なんだけど。
「母さん出張か」
机に置かれていたコンビニ弁当を見て察した。これにも慣れてきたな。
「ピーポーピーポー」
救急車の音が聞こえた。
「なんかあったのかな」
自分の部屋のカーテンを開けて救急車の場所を探す。
「...ん?」
停まっていた場所はあいつの家。まさか。まさか。ないだろ(笑)。
「見に行こう」
ろくな支度もしないで、スマホ一つで家を飛び出た。
『お前んち行くね』
ラインで打ってたくさん走った。
「冗談キツイって...」
そこには横たわっているあいつが居た。
そして僕はここから記憶がない。
そうだ。あれは夢だ。ただの夢だ。そうだ!そうだ!嘘なんだ!そうさ、あんな事があるはずない!あんな事...あるはずないだろう?
「あの子、どこいくんだろう」
小さな子供が喋る。
「大丈夫ですかー?」
この言葉は少年に届かなかった。狂った少年は崖からただ落ち、
ただ一人の友に会いに行き、現実で起きたことを夢にしようとした。まぁ、死んでしまったのだから関係ないのだけれど。
おわり