テーマ 私の日記帳
一つのページに線が引かれた。その線はまっすぐに引かれた。
「お泊りだぁ!」
「はしゃぎ過ぎんなよ〜」
あいつと泊まりで遊んだとき。
「バトンを絶対に繋げよ!」
「うん!」
アイツと運動会で一緒に走ったとき。
「卒業だぁ」
「楽しかったな」
「そうだね!」
桜の舞い散ったあの卒業式のとき。
「暇だから話そ!」
「いいよ」
「前ねーーーーーーーー」
あいつと久しぶりに電話をしたとき。
「...は」
あいつが居なくなったとき。
スベテが僕という人間に記憶が残っている。消そうと思っても消しゴムなんか役に立たない。
この記憶を持っている僕はこのまま、生きるしかないんだ。
僕こそが、僕の日記だ。
おわり
ー 作者から ー
昨日言いました、欲しいと思うので解説します。僕は欲しいです。
ー 解説 ー
「一つのページに線が引かれた。その線はまっすぐに引かれた。」
という最初の文の"線"は生命線的なので、このストーリーに出てくる少年少女が生きてきた記憶です。
で、「◯◯のとき」みたいに描かれている部分はその時系列の思い出です。
で、「スベテが僕という人間に記憶が残っている。消そうと思っても消しゴムなんか役に立たない。」
という所で、「消しゴムなんか役に立たない」という部分は僕の記憶から消そうと思ってもあいつとの記憶がたくさんあり、忘れることができない様子が描かれています。
「僕こそが、僕の日記だ。」
というのはさっき言った記憶が僕の頭に残っているから僕自身が日記みたい。っていう言葉のあやですね。
ここまで見てくれてありがとうね。
テーマ 海へ
青い夏。青い海。青い空。青い世界好きだった。
「でももうそのセカイは無いんだ」
真っ赤な夏。真っ赤な海。真っ赤な空。真っ赤なセカイで染まっていた。
「海を見に行こう!」
そう病室で元気に言っていた。
「..そうだね」
君は海まで歩けるかな。
「ありがとね」
手紙に書かれた一言の文字。
「..海に行けなかったね」
ある日、海に行ってみた。真っ赤な海は海底を隠すように染まっていた。
「海に来れたよ」
君が見てくれると思って喋った。
君の死体を投げた。君は海に沈んだ。何も感情のない人形のように反応もしない君の姿を見ていた。
「セカイは変わってしまったんだ」
生きてるだけで精一杯の生活。もちろん食料を手に入れるだけで一日が終わる。お金なんてこのセカイでは通用しない。
「昔のほうがよかった」
そう誰しも口にすると僕は思う。けれどセカイはそんなに甘くない。セカイを変えるために命をかけてるか?と聞けば、沈黙が返ってくる。少なくとも僕はそうだ。
変えたいけどそこまでして変えたくない。わからない感情が僕を渦巻く。その中で僕達は生きている。
おわり
テーマ 鏡
鏡は全てを反対に写してくれる。
喜びも、悲しみも、セカイも、偽善者も。
「だんるなに対反て全」
そんな鏡の世界で喜びながら死んでいる。
自分の顔に仮面をつけず、善者を気取らず、ずっと、ずっと気取らずに死んだ。
喜びながら。
「せ幸」
地面に向かわず飛ばなかった。
「...死んだのか」
しばらく喜びに浸った。
おわり
テーマ 夜の海
僕は夜が好きだ。夜の暗さは全てを無くしてくれる。悲しみ。憎しみ。喜び。不安。綺麗なほどに見えないものになる。
「...鏡みたい」
夜の外にある海面の水面が真っ黒で、眠っている魚も、その海底も覆い隠していた。
「僕も隠してくれるかな」
赤い液体が付いたまま、僕は夜の海に飛び込んだ。
「次のニュースです。ーーーの海に人が沈んでいると119番通報がーーーー」
おわり
テーマ 上手くいかなくたって良い
全てが僕には必要ない。
「アハハハ、ひっど〜い」
「「「「バケモノ」」」」
「..そうだよ。僕は化け物。」
羽の生えた醜い化け物。
「でも、化け物だからナニ?」
「「「「キエロキエロキエロ」」」」
「お手本見してよ」
「.....」
静寂に包まれる。自分は身を捧げたくないってか。自分勝手のあいつらにイライラしてくる。
「じゃあ実験〜」
僕の綺麗な羽が染まっていく。
「昔は違かっただろ?」
顔しか知らないようなただのニンゲンに言われる。
「ムカシ?どれくらいムカシ?」
「2年前だよ」
「...オボエテナイヤ」
昔ってなんだよ。僕は今を生きているんだ。
セカイが無くたって良い。スベテ消えても良い。
バケモノでも良い。ただのニンゲンでも良い。
「生きていればそれでいい。」
一つの教室は一色に染まっていた。
おわり