テーマ 夜の海
僕は夜が好きだ。夜の暗さは全てを無くしてくれる。悲しみ。憎しみ。喜び。不安。綺麗なほどに見えないものになる。
「...鏡みたい」
夜の外にある海面の水面が真っ黒で、眠っている魚も、その海底も覆い隠していた。
「僕も隠してくれるかな」
赤い液体が付いたまま、僕は夜の海に飛び込んだ。
「次のニュースです。ーーーの海に人が沈んでいると119番通報がーーーー」
おわり
テーマ 上手くいかなくたって良い
全てが僕には必要ない。
「アハハハ、ひっど〜い」
「「「「バケモノ」」」」
「..そうだよ。僕は化け物。」
羽の生えた醜い化け物。
「でも、化け物だからナニ?」
「「「「キエロキエロキエロ」」」」
「お手本見してよ」
「.....」
静寂に包まれる。自分は身を捧げたくないってか。自分勝手のあいつらにイライラしてくる。
「じゃあ実験〜」
僕の綺麗な羽が染まっていく。
「昔は違かっただろ?」
顔しか知らないようなただのニンゲンに言われる。
「ムカシ?どれくらいムカシ?」
「2年前だよ」
「...オボエテナイヤ」
昔ってなんだよ。僕は今を生きているんだ。
セカイが無くたって良い。スベテ消えても良い。
バケモノでも良い。ただのニンゲンでも良い。
「生きていればそれでいい。」
一つの教室は一色に染まっていた。
おわり
テーマ 太陽
夜に花火が光る。
「けっこう回れたな〜」
夏祭りに来た君が言う。
「そうだね〜」
「もうお祭り終わるから帰ろ〜」
「分かった〜」
花火を背に向け、君が帰る。
「課題やらないとだな〜」
「僕は課題終わった〜」
「花火綺麗だったな〜」
「華やかなだったよね〜」
「お腹いっぱいだ〜」
「めっちゃ食べてたからね〜」
「...あの子も来れたらよかったのにな。」
「....」
君の目から涙がこぼれていた。
次の日。
君が家から出て少し立ち止まった。
「おはよ〜」
「..あの子が去って4日目か」
「あの子ともっとお話がしたかったよ..」
「....」
眩しい空を見上げながら君は僕にそう言った。
おわり
テーマ つまらないことでも
「セカイの何処かで待ってるよ」
夜、夢の中で言われた。
「..君の名前は?」
「...それは教えられない」
大きな木の下の落ち葉を手に取りながら相手が言った。
「はぁ?」
なんで教えてくれないんだ。その疑問が僕の心に残る。
「もう朝になるね。またね」
「ああ。」
視界が真っ暗になった。
「何だったんだ..」
そういやあの木、見覚えがあるな。
「此処だったか。」
昔あいつと遊んでいた場所。もうあんまり来なくなっていたな。
あいつと一緒に居た最後の場所。最後まで僕達はくだらないことをしていたな(笑)。
「なんで...置いて行ったんだよ」
肌が水で濡れる。でもそんなことは今はどうでもよかった。
「ここでずっと待ってるね!」
昔のあいつが見えた気がする。
おわり
テーマ 目が覚めるまでに
「おぉぉ!」
夏祭りで綺麗な花火を見ていた。きれいな花火は夜空に咲く花そのものだった。
「速報です。このあたりでまた殺人が起きました。凶器は細長い刃物だそうです。容疑者は逃走中で...」
あたりがざわつき始めた。
「....ん?」
帰る途中、暗い夜の中でフードを被ってる人を見た。
「手に持っているのは..ぁ」
手に持っているのは血で汚れている細長い刃物だった。
でも違うかも知れない。まぁ、カエルだけだし大丈夫か。
「ドッッ」
「カハッッ」
ふと下を見た。細長い刃物が僕の腹を貫通していた。
「なんd」
お腹が裂けていて痛い。だんだんと視界が暗くなっていった。手遅れ...手遅れだなぁ。
僕はもう、報われないな。
「また一人。」
僕の存在を見せるために人を殺した。殺した。コロした。コロシタ。
「「なんで」」
「「おかしいだろ」」
「「化け物」」
コロシタヒトカラノコエガキコエル。ドコノダレカモシラナイヒトヲコロシタ。
アア、ナンデナンデナンデナンデナンデ
「こんなことしてたんだろ(笑)」
思い返したら馬鹿馬鹿しいことをしていた。許されないことをしていたのは分かっている。
もう、モう、モウ
遅い。
おわり