ぜんまい引いて 全てが終わるならまだいいかな
人生最後でも糸を結んで、縛って、かけて、切れた。
バツ印のそれが痛みに感じ、カーテンに光が指しているのが嫌味に感じてしまって、
人生最後に限って外は明るくて
鳥が鳴くのと同時に人が笑う 懺悔はもう切れている
ターミナルに着いたのに また動き出す
そんな事が嫌になっていた。
だから足に糸をかけて眠った
頭に血が上ったけど もう手を上には出せない
死の到達は思ったよりも遅くて 教室の椅子に座り込むみたいに汗が止まらなかった日々でした
再生された映像は君の肉眼でした
小さな細胞がうねうねしていました
雨が降っていた頃、君は逆さまに死にました
僕を置いて消えました。雨みたいに。
ぜんまいなんて最初からないから
だから林檎がつっかえました。
自殺を食べるとみんなに初めて注目されました
赤色ボタンが消えているはずなのに
毒林檎がつっかえて吐き出しました。
自傷する夢
林檎の中身は青色になり 外側は赤色
天井に映る緑のLEDが少し僕を灯してくれていた
夢うつつにそれはたんぽぽにもなった
僕の目にはノイズが映ったようになった
それは暗闇に吸い込まれそうに夢に入ったみたいに
暗闇のなかの花火のようにも見えていた
生きている夢を見た
悲しかったから 刹那が蘇ること 死にたかったこと
死のうとしたこと 死ねなかったこと 生きていたことの夢だ しにたかった夢だ 大嫌いな夢のままにいた
僕は死んでいた そんな言葉が生きている証
宇宙の太陽に全て吸い込まれてしまう夢がいい
宇宙なんてなかった夢がいい
そんな言葉がない夢を見ている
雲がいなかった夢がいい 全てが真っ暗な夢がいい
真っ暗なんてない でも何も無いって何?
そんなことも嫌だ、全てが感触でつたわって
侵食された濁りの匂いがする
猫が飛び出す夢ならいいか 路地裏の世界に横たわる
猫ならいいか
登場人物はお前だけでいいのにな
(3)
家に帰るのがどこか怖くて
そのまま自転車が進んでしまう 知らない坂道を下り
知らない風を受け 知らない地面を見ているのだ
ずっとあのころの教会を探している
でも探しても見つからずに いつも家に帰り
忘れたように眠りにつく
あの歌声と あの時計の声だけが頼り
私は夜道が怖いけど あの子を思い出すと
少し星が見えるような気がする
そのままずっと星を追いかける
車をおりた時
すべての木漏れ日が死ぬ
一瞬で青グロく生まれ変わる向日葵が
鼻先からつま先に震えるみたいに怯えている
雲の存在が恋しくて でもどこか肌寒くて
どこからか鳴き声がして 悲しかったと思う
誰かを待っている でも待つのが怖い
待角が面倒くさい 山の麓から声がしてくる
今だけ不死身な気がしている 金縛りが起こっている
あなたが死んでいるように思えてきていた
宇宙のカーテンが広い
曇は埃かな
でもね
あまり開けたくないと思っちゃってる僕がいる
目だけが太陽 あなたが月のままでいい
今だけ不死身な気がした
トラックは通らずに
小さなコロコロ
あしの麓に あなたの瞳孔
簪の似合うふさふさな帽子で
あなたの名前を呼んでいるまで
にぎやかな夏時雨 夕陽が廻る 段々と青色に変わりゆく
それはどんどん色を変えてゆく 虹では無いもの
何時の電車に乗るのか
そこまでの路は夕陽に聴いてみる
灰色の雲に ぶっきらぼうな口ぶりで 帽子を振り回す
本当に赤い夕陽に染まった唇
黒い絵の具なのに 何色にでも染まりゆく
多分ここはウクレレの鳴る向こう側
毎日の欠片とか 重さとかいうもの
それはただ横たわるだけで
寝癖がついて終わるだけになる
左側への道へ進み 信号が点滅している
トラックは止まらない 飛行機は止まらないんだ
どこもかしこも 命は綺麗だから泣いているんだ
君は不答 多分死があるから
逃げ出したあくる日に 夕陽が何色かを問いただして
何も答えてはくれないから