車をおりた時
すべての木漏れ日が死ぬ
一瞬で青グロく生まれ変わる向日葵が
鼻先からつま先に震えるみたいに怯えている
雲の存在が恋しくて でもどこか肌寒くて
どこからか鳴き声がして 悲しかったと思う
誰かを待っている でも待つのが怖い
待角が面倒くさい 山の麓から声がしてくる
今だけ不死身な気がしている 金縛りが起こっている
あなたが死んでいるように思えてきていた
宇宙のカーテンが広い
曇は埃かな
でもね
あまり開けたくないと思っちゃってる僕がいる
目だけが太陽 あなたが月のままでいい
今だけ不死身な気がした
トラックは通らずに
小さなコロコロ
あしの麓に あなたの瞳孔
簪の似合うふさふさな帽子で
あなたの名前を呼んでいるまで
にぎやかな夏時雨 夕陽が廻る 段々と青色に変わりゆく
それはどんどん色を変えてゆく 虹では無いもの
何時の電車に乗るのか
そこまでの路は夕陽に聴いてみる
灰色の雲に ぶっきらぼうな口ぶりで 帽子を振り回す
本当に赤い夕陽に染まった唇
黒い絵の具なのに 何色にでも染まりゆく
多分ここはウクレレの鳴る向こう側
毎日の欠片とか 重さとかいうもの
それはただ横たわるだけで
寝癖がついて終わるだけになる
左側への道へ進み 信号が点滅している
トラックは止まらない 飛行機は止まらないんだ
どこもかしこも 命は綺麗だから泣いているんだ
君は不答 多分死があるから
逃げ出したあくる日に 夕陽が何色かを問いただして
何も答えてはくれないから
爛れるように歩いて 霞むようなアスファルト
太陽がキラキラと地面の雑音が頭の中に滞っている
ただ草木が揺れているみたいに
階段を登ってゆくみたいに
そんな人生を臨んでいるだけなのに
たんぽぽみたいな花が咲う そして雨の日には蕾は眠る
ちゃぽちゃぽした水溜まりの傍に
君は僕が嫌いなのね
小さな刃物が殺人鬼が笑うみたいに僕の傍に揺れて
枯れていた僕を他所目に
雨水が項垂れるだけの音がしている
皮が血の海に覆われて 地獄絵図に化す❓
道路が動いているみたいだった 涙が動いて
僕はただ死んでゆく塗れになるだけだった
せめて綺麗に死にたかった
線路を無くした電車のように
冷たい熱帯魚のように
僕はまるで僕みたいに死ぬんだ
おはように化けた心の孔雀を透かして
毒にも満たない薬を飲んで一夜を明かして
チャイムが何度もなる朝だ
エラー画面の音声がずっと私を急かして
ロボットに当たって爆発する頭
飛んでた埃を素早く掴んでみせる生活
無駄な二酸化炭素を排出しているただの無能だ
絆創膏が落ちている時 下を向いている
埋まり消えていく 色褪せた額縁の絵の具色
飾っていたのは何だったんだろう
思い出す頭も動かぬまま 熱が消えていく
液体が残っていない香水を飲み干して死ぬ
何も無い魔女 花が咲かない雑草に 心縋り踊るのだ
風に揺られた同じ振動 理に落ちる
ぷかぷかとまた風が来る
指先が異世界を感じた そこはどこかの小さな隧道
子猫が先を知らないまま
ただ眠っている 真っ暗の中にいる
黒猫だけが僕の幸せを願って
涙が何色か分からないまま 子猫の温もりに
夜の色の温もりに トンネルの冷たさに
全てに触れていたけれど 全て透明になる息だった
心みたいな 葉じゃ表せないほどに
あそびたい、ブランコに乗っていた月明かりが
雲から顔を出しても 出さなくても めをつぶって
流れ星が 冷たくてアスファルトが少し濡れた
心拍とよく似る 水道管に水が流れる音
冬であればよかったかな
どうしてまた黒猫は 僕のことを抱きしめて
どうしてなのか 黄色い月が僕を見つめる
夜が囁いて 僕に初めて色をくれた
案山子の腕が鳴る
猫の目のように 僕はまた堕ちゆくだけの
冬になったのだろうか