手に植えた黒い文字
それは段々と
涙で霞んでいく
終わりの見えない人生みたいに
きえていってしまう思い出みたいに
やがてその黒い文字はみえなくなっただけで
私の黒い心はなにも霞まずにそこにいる
窓の夜空は、私の心に吸い込まれ、真っ黒に塗られたキャンバスが飾られていた。
悲しそうな傷がついた所に
涙を零しても痛いだけで、何も消えてくれなくて
忘れさせてくれない思い出だけが残る
涙なんて流しても
何も意味が無いのに
何をしているの?そう聞いても、
また涙で濡れるだけで
私は何がしたいの、と聞いても
答えてくれないのは分かっていた
あの頃の空を、あの頃の夕暮れは
明日を願うばかりで何も背景がない
空白の中の空
ただ夜に暮れてただ涙に濡れる
手元の月は濡れていて
手垢だらけの月は僕を勇気づけ
僕の目に光をくれる
でもその光はすぐに消えて
私は光ってなんていなかったんだなって
真っ白な単語帳思い浮かべて
そこに色違いの4文字を書いて、ひとつをちぎって捨てている
いっそのこと
あの夜空に吸い込まれて、誰かの黒い文字になりたいなんて口ずさんでいた。
僕の頭の上に濁点の血が振っている
汚れてしまった僕の体をみて泣いている
忘れてしまった涙と造られた綺麗事が僕の中で交差して、踊る人形が鮮やかな血を吐いていた
アネモネは消えて散ったようで
汚く笑うその顔は忘れられなかったみたい、殺して欲しいと思った暁が不愉快で仕方がなかったから
誘惑された浴槽に、僕は呪いをかけて溺れて
その感情は吐き出すとネズミ式みたいに増えていく
全部吐き出してしまいたいのに何も出てこなくて
ただ壊したい気持ちが募って終わる
僕の心のひまわりの種が踏み潰されて消えていた
落ちる感覚と共に血の涙が上に昇るけれど
それはバス停みたいにいつまでも待っていられる訳じゃないと言っているみたいだった
僕は今何を待っているのだろう?
なにもない場所で独り、心の隅を何度もグチャグチャに飲み込む
ブラックホールの1部になった僕はひたすらに終わりを願って指を切る
六月の頃雨は降り続けた、まるで永遠に続くなぞられた4文字みたいに
蝉の声は9月になると死んでいた
死んでいた声は僕を殺してくれない、その劣等感のような声をもう一度聞きたかった。
ただ何も待たずに僕は劣等感を持ち続けて鳴いていた
チッタ、チッタ、チッタ、チッタ、チッタ、チッタ。
6時、5時、3時、1時に巻き戻っても何も変わらない
鳴きやむころには肌が汚れてしまう
その顔は口角を上げて僕に時間を教えてくれた
いつまでも寝ていたい日々はだれも口角を下げていた
季節を超えても何も意味が無いのに
どうして生きているのか君に説いても
ただ返事をしている午前10時、おやすみを答えた。
煌めきを帯びる君の目はとても美しく
ブルーライトは眩しくて頭が痛くて
煌めきを邪魔だといつからか思うようになる
いつまでも不愉快に切られたその爪を切り落とさずに
不愉快な面をする
いつからか蝉は死に
僕を連れていってくれるわけでもなく
セミの死骸は踏み潰されて終わる
僕の鳴き声は誰の耳にも残らずにただ散っていくから
とりあえず心地いい風で眠りたい
それだけでいいのに
強欲な心の蝉は鳴り止まずに止まらないでいるみたい
煌めきを帯びるあの星はいくつの星だろうか
星になれば誰かの目の輝きになれるのかもしれない
僕は星にさえなれない
ただの蝉の抜け殻になり踏み潰されていく
ただあの煌めきが五月蝿くて仕方がなかった
小さな窓からは潮の匂いがゆらゆらとし
僕の意識はもうぐらぐらしている
ここはどこなのかはどうでもいいけど
月はずっとそこにいるから
君が僕に話をしてた
その微笑みはしばらくのあいだ彼女の口元に残る
そのぬくもりはしばらく僕な間から離れなくなる
涙が垂れた頬が乾いているのが哀しくて
もう君と逢えないことはわかっていた
君の淡いワンピースの色は一つだけで
それは海の匂いがした
海辺に行くと君を思い出して
僕はずっと消えてしまう文字を書いている
姉さんと写った場所も、あの絵画の場所も
僕の1部にある図書館の景色はいつまでも残っている
海辺のカフカを読みました。
空模様なんて多分綺麗な言葉で
僕にはふさわしくない言葉
できるなら、
その思い浮かべる空模様を見ないままにできたら
とても素敵な8月になれたのかもしれないね。