書く習慣

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1/21/2024, 12:56:30 PM

この闇に貴方とひっそり息をしてささやきあっては特別な夜

4/27/2023, 2:07:38 PM

 きみがいるから。


『生きる意味』

4/18/2023, 5:38:45 PM

 僕の目は、生まれつき、色を認識できないようだった。
 色の無い世界だとしても、別に困りはしなかった。
 僕の髪やら瞳やらは、他人から見ると、人間離れしているらしい。
 それがどんなものかは解らないけれど、嫌悪される対象であるらしかった。
 だから、色なんて知っていても知らなくても、たいして変わらないのだろうと思っていた。
 だって、僕自身が、異色であるようだったから。

「すごい、貴方は真っ白だ」

 そんな、僕の世界。
 無色で冷たい世界の中に、唐突に現れたそのひとは。
 例えるなら、眠りに落ちる直前の、どこかへ沈んでいく感覚のように――僕というものがそのまま呑み込まれてしまいそうなほどの、黒。
 長い髪を綺麗に泳がせる、漆黒のひとだった。

 そのひとは、実際には、人間ではないようだった。
 僕の背丈と同じくらいの大きな鴉。それが、そのひとの正体であるらしい。
 なんとも不思議なひとに拾われた僕は、その日から、世界中の色を知った。
 そのひとの黒い髪、金色の瞳。それに始まって、たくさんの色が、濁流のように押し寄せてきた。
 そのときの僕は、どこを見ても眩しい色彩が恐ろしくて、自分の目をくり抜きたくなる衝動に駆られた。
 まっしろな僕を気に入ったらしい鴉のひとに、制されていなかったら。僕は、色がどうこう以前に、視力を失っていただろう。

「ほら、あそこに花が咲いていますよ」

 そのひとが、ふいに指をさす。そちらを見る。
 薔薇の花が咲いている。あの花びらの色は、赤。向こうは、黄色。
 そのひとと過ごしている今、僕はたくさんの色を知った。
 これからも知っていく。この世界にはまだ、僕の知らない色が、山のようにあるらしい。
 けれど、と。人間のかたちに化けた鴉のひとを横目に、僕は小さく呟くのだ。心の中だけで。そのひとに気づかれないように。
 色のない世界で、僕が一番最初に見た、漆黒。
 これから先、どんな色に出会おうとも、僕はその漆黒が、きっと一番に好きなのだろう。

3/29/2023, 2:18:33 PM

「僕は、きみに殺されたい。きみにだけ」
 まるで迷子のように、私に縋る。うつむく彼の唇からは、おなじような言葉しか紡がれない。かつてのように、死ねればなんでもいいとは、もう思えないのだ。私は、私というものに雁字搦めにされた彼のことを、世界の誰より知っている。
 なんて憐れ。なんて愛おしいのだろう。この高揚感は、たとえようもない。この想いを表現する言葉を、世界がまだ、見つけていない。
 舌をなめずる。私は微笑む。いいですよ、と答える傍ら、きみを殺すつもりなど毛頭ない。彼は、そんな私を、きっと誰よりも知っている。だから、せつなそうに眉を顰める。
 髪を撫でたがる私の手を振り払って。

 愛くるしいものだと笑みを深めた。
 大丈夫。――私は、愛して、生かしてやろう。
 私でしか死ねないきみのことを、何百年でも、何千年でも。



『ハッピーエンド』

3/28/2023, 12:16:55 PM

 俺は、だいたいのことに興味がない。
 好きだとか、可愛いとか、そう思うのは、あなたにだけ。
 だから、らしくもなく胸が昂る。
 その紅い瞳に、心底から惚れ込んでいるせいで。


『見つめられると』

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