後にも先にも引けない僕を、誰か見てはくれていたのかい?
聴いてるかな、見ているでしょう
まだ浅い脳で感じていた浅ましさを、何をするにも伴った吐き気を
する事なす事その全てが醜く劣って見えている、
そんなそこそこな地獄を知ったように語ってはいなかったっけ?
ほら今日もさぁ
人目につかない背の影で、いつだって磔にされている
額縁に雁字搦めにされて、他人や自分の目を槍として
いつだってごちゃごちゃになるまで抉られ晒され続けているんだよ
あはは見てよ見えないかなそれもそうだね見せないものね
いつもいつもそうだよね!僕ずっと笑っているものね!
楽しくても何とも無くても泣いていてもずっとねずっとだよずっとさぁ!
こりゃあ笑えちゃうね、あぁなんて愚かしい
過去なんかで笑えないよ、いつだって首掻きっ切りたくなるような日々死んだ儘でいて欲しい
未来なんかで笑えないよ、いつだって臓物ぶちまけてやりたいような自分がいる日々来ない儘でいて欲しい
今も明日も昨日もいつだったか忘れちゃったなでもその日だってずっと最悪なんだった!
けれども生きなきゃいけない。面倒だよね、しかし僕への罰だったからね
かといって過去も未来も最悪だよね、だから端から
今を生きることしか、許されてくれはしなかったんだな、
走ってる
いつも通りに、走っていてる
夢だから、夢であっていてくれと
何かから逃げているのはきっと、いつものことで
嫌だなあ、追われてる
いや、もしかしたらば追われてなどいなかった
階段を駆け上がっている
どうしてこう、足が縺れるの、ねぇ
ああ呑まれそうだ、この肺も、飲み下せたなら楽かもな
手すりに縋る、そして引き摺られながらも高く遠くを目指し行く
扉だ
終わったな、終わったよ
もう終われるかもと、この時くらいは期待をさせてよ
開けた先で、大気に流され埋もれれたのなら
もう、それで
あぁ、叶った
よかったな、鐘が鳴っていたんだな
あとはそのまま、元来た場所へとかえろうか
さいごのさいごに一つだけ
宙の上で寝かせてくれはしないだろうかな
夢だったんだ、夢なら叶えてくれるでしょ
飛べ。
もういいよってさ、諦めてもさ
投げ出せていたのならばそれは、綺麗に遺っていましょうと
かぶが踊っている
何故かは知らん、しかし、踊っている
看板がこれ見よがしにと立ててある、ふむふむ
【ある意味大・大・大特価セール‼️人類史に類を見ない程のかぶの不作‼️よってお値段大幅アップ‼️なんと通常の…】
なるほど、なるほど
つまるところのとどのつまり、このかぶ達は、
自分達の価格が上がる=自分達の価値も上がる、と喜んでいたのか
そう考えると、なんでかこちらも嬉しく思えてきてしまった
供給が減り一般庶民のちゃぶ台からは引き剥がされていく一方だというのに
あ、かぶが舞い始めた
なんか凄い、どっかの民族に代々受け継がれていそうなタイプの舞だ
かぶにも民族とかってあるんだろうか
まぁいい、今はよそう
取り敢えず、踊ろう
思考も常識もthrow away
今宵はそう、踊り明かせよparty night
本日やっと、待ちに待ってたぜspecial day───
《後書き》
僕にとっての、special?
そうですね……やはり、なんと言っても
───『かぶ』、ですかね
背に二日月を携えて
防犯灯から闇へと跨ぐ
まるでトンネルのように窮屈で、草原のように広々してる
木の遮った光を泳ぐ
悪夢の如く、平衡感覚を殴打され続けている
ざわざわと覆い被さったそれらは、大地の全てを震撼させんとするようで
心がぐらつく
足が沈んでく、なのに歩いてる
地に足つけて飛んでるみたいに
終わりを告げる電柱は、もう数歩先にあるといっていたのに
丸切り、近づけた気がしない
揺れる木陰に押し潰される
焦燥と晏然から目を背く、必死に、ただ必死に
もう少し、もう少しと手を伸ばしている
しかし、その先は
気づけば、花弁を掴んでいた
ふと、目を逸らしていた
その八重桜の前で、自身の影がそこにいる
手には何も無かった
ずっとずっと、歩き続ける
何千里だか何万里だか知る由も無いが、それでも歩く
君を背負ってるから
止まってしまったら、君の全てをも終わりにさせてしまうから
ねぇ、君はさよく言ってたよね
大丈夫だって何度も何度も
笑えちゃうくらい空っぽな笑顔で、見てるこっちが居た堪れなくなっちゃって
ねぇ僕言ったよね
一緒に歩こうってさ、言ったよね
あの日日が沈む頃の堤防で、しかと指を切ったよねなのにさなんでねぇなんで
僕ずっと君の傍に居ているよ
だのに、君だけが傍に居ないのは
ねぇ苦しいよ、生き苦しいよ
ほんとはさぁ哭きたいよ、哭いていたいよけれどもだって、
そしたら君は、泣いちゃうでしょう
ははは最悪、最悪最悪最悪だ
度し難いにも程度があるでしょ本当君って
ずり落ちている君を背負い直す
夜も朝も、ここでは寝てる
今この世界には、僕らしかいない
僕らには、僕らしかいない
だから、もう、全部投げ出そう、二人で
地平の果てを探しに行こう
もう二度と、君の錆を直視せずとも済むように
ずっとずっとの逃避行
ただ退廃的な程に、二人だけの。