背に二日月を携えて
防犯灯から闇へと跨ぐ
まるでトンネルのように窮屈で、草原のように広々してる
木の遮った光を泳ぐ
悪夢の如く、平衡感覚を殴打され続けている
ざわざわと覆い被さったそれらは、大地の全てを震撼させんとするようで
心がぐらつく
足が沈んでく、なのに歩いてる
地に足つけて飛んでるみたいに
終わりを告げる電柱は、もう数歩先にあるといっていたのに
丸切り、近づけた気がしない
揺れる木陰に押し潰される
焦燥と晏然から目を背く、必死に、ただ必死に
もう少し、もう少しと手を伸ばしている
しかし、その先は
気づけば、花弁を掴んでいた
ふと、目を逸らしていた
その八重桜の前で、自身の影がそこにいる
手には何も無かった
7/18/2025, 2:12:45 PM