「これからも、ずっと」
「一緒にいよう。」
私にそう誓った者たちは皆、私を置いて行ってしまう
「永遠の命を欲しがった罰だ。」
そう囁く声が耳元で聞こえる。
また一人の男が、私を残して旅立とうとしている。
「これからも、ずっと一緒にいたかった。だけれどこの体では、君の行く道を共に歩むことはできない。だから」
「だから戻ってくるよ。新しい体に包まれて、何度でも君の元へ帰ろう。」
そう新たに誓い、旅立った。
だから、私も誓った。いつまでも私の道を行こう。
あなたの帰ってくるところを、いつまでも守ろう。
キイ、キイ、
公園の古びたブランコはキイと鳴く。
ジャリ、ジャリ、
ブランコに乗ると、必ず大人しい足音がやってくる。
ジャリ。
足音が止まる。
ギイ、キイ、キイ、
キイ、キイ、キイ
やがて鳴き声は2つになる。
言葉は無い。
ただ2つの影法師が代わりばんこに後ずさったり、進んだり。
キイ、キイ。
また明日、の代わりに音が止まり、2つの足音は違う音色で、しかし同じリズムを刻んで帰っていった。
「新年、明けましておめでとうございます。」
と、0時0分ぴったりに彼からメッセージが届いた。
やけに畏まった文章に思わず口元が緩む。
「明けましておめでとう!今年もよろしくね〜。」
送信を完了したと同時に既読がついた。すぐに返信が来るだろうと踏んでいたが中々来ない。
待ちくたびれてスマートフォンを閉じようとした瞬間、返事がやってきた。
可愛らしいキャラクターのスタンプだった。
大きな「大好き!」の文字の上にキャラクターが乗っている。
突然の愛の告白に驚いていると、突然そのスタンプが見えなくなった。
送信取り消しの文字。先ほどのスタンプの代わりに、
今年もよろしく。と挨拶をしている可愛いネコのスタンプがやって来た。
「ごめんなさい!間違えました。」
彼からの謝罪のメッセージも遅れてやって来る。
消さなくてよかったのに…と内心寂しかったことは、今年最初の秘密だ。
何となく入ったスーパーで出会った。
「久しぶり。元気してた?」
懐かしい声。姿。この大晦日に彼女の顔を見ることになるとは、数分前の自分には予想も付かない。
近況報告や再会の喜びの共有が終わると、彼女は外をふっと見た。
「あ、そろそろ帰らなきゃ。」
外は暗くなっている。
帰宅するべき時間であることは一目瞭然だ。
「じゃあ、」
最後は、この言葉だろう。
『良いお年を。』
ある晴れた日の午後のことだった。
アンドリューが乱杭歯を剥き出しにしてニヤついている。
サラは知っていた。アンドリューが楽しいことやワクワクすることを思い浮かべる時、決まってこの顔をする。
ああ、こっちへ向かってくる。
優しいサラは、アンドリューの話に耳を傾けてやった。
「ああ、ジェイコブ爺さんの家の裏庭を行くんだ。くれぐれも足音を立てるんじゃないぞ。神経質な怒りんぼじいさんだからな。ちょっとでも音がしたら、すぐに飛んでくるぞ。」
「その先に宝物があるの?」
「そうさ。今日の夜こっそり抜け出してこいよ。オレとお前だけの秘密だからな。」
サラは真っ暗な夜中に外出することを怖がったが、行くことに決めた。
アンドリューが宝を独り占めするのはもっと嫌だったのだ。
夜、ベッドにクマのぬいぐるみを代わりに寝かせ、ジェイコブ爺さん宅の裏庭へ急いだ。既にアンドリューは待っていた。
集合すると2人は一言も発さず、小さな頷きを交わして宝の在り処へ急いだ。
風が頬をなでる。暗闇にも目が慣れてきた。
進み始めて数分だろうか。広い丘が2人の前に姿を現した。
「ねえ、宝物はどこなの?」
アンドリューは立ち止まったまま、天を指差した。
「空を見るんだ。」
見上げたサラの瞳に映るのは、空一面に散りばめられた星たち。アンドリューの言う宝とは、この美しい星空のことらしい。
「最高にキレイだろ?」
サラは拍子抜けして、笑みを漏らした。
「アンドリューらしくないね。もっと違う物を期待してたんだけど。でも、来て良かった。」
無数の星に包まれて、2人の笑顔が煌めく。