ある晴れた日の午後のことだった。
アンドリューが乱杭歯を剥き出しにしてニヤついている。
サラは知っていた。アンドリューが楽しいことやワクワクすることを思い浮かべる時、決まってこの顔をする。
ああ、こっちへ向かってくる。
優しいサラは、アンドリューの話に耳を傾けてやった。
「ああ、ジェイコブ爺さんの家の裏庭を行くんだ。くれぐれも足音を立てるんじゃないぞ。神経質な怒りんぼじいさんだからな。ちょっとでも音がしたら、すぐに飛んでくるぞ。」
「その先に宝物があるの?」
「そうさ。今日の夜こっそり抜け出してこいよ。オレとお前だけの秘密だからな。」
サラは真っ暗な夜中に外出することを怖がったが、行くことに決めた。
アンドリューが宝を独り占めするのはもっと嫌だったのだ。
夜、ベッドにクマのぬいぐるみを代わりに寝かせ、ジェイコブ爺さん宅の裏庭へ急いだ。既にアンドリューは待っていた。
集合すると2人は一言も発さず、小さな頷きを交わして宝の在り処へ急いだ。
風が頬をなでる。暗闇にも目が慣れてきた。
進み始めて数分だろうか。広い丘が2人の前に姿を現した。
「ねえ、宝物はどこなの?」
アンドリューは立ち止まったまま、天を指差した。
「空を見るんだ。」
見上げたサラの瞳に映るのは、空一面に散りばめられた星たち。アンドリューの言う宝とは、この美しい星空のことらしい。
「最高にキレイだろ?」
サラは拍子抜けして、笑みを漏らした。
「アンドリューらしくないね。もっと違う物を期待してたんだけど。でも、来て良かった。」
無数の星に包まれて、2人の笑顔が煌めく。
12/30/2025, 12:22:21 PM