─20歳─
ねぇ、君は今も見てるかい?
僕ももう20歳になったよ。
成人式では小学校とか中学校の皆と会ってさ、
あの頃の思い出とか、今何してるのかとか、
他愛の無い話して盛り上がったんだ。
皆も君に会いたがってたよ。
君は今何してんだろうなってさ。
本当に、優しい人に恵まれてたね。
…嗚呼、君も生きてたら、
僕と同じで20歳だったのにね。
確か、小説家になりたいって言ってたっけ?
あの頃は自分の未来が見えないって悩んでたよね。
僕はさ、君が書いた小説、読みたかったな。
君は想像力豊かで、楽しそうで。
なのに、なんであんな事故が起きるんだろうね。
本当に、神様って不平等だな。君じゃなくて、僕だったら。
夢も中身も何もない、僕だったらよかったのにね。
もしそうなったら、君は悲しんでくれたのかな。
─幸せとは─
幸せとは、何なのだろうか。
人によって違うことは分かる。
けれども、それを押し付けるのは違うと思う。
きっとそうしたら、どちらかが疲れきってしまう。
もし世界の全ての人々が、自分の幸せを押し付けたら。
それこそ正解が分からないし、世界が壊れちゃう。
それ程人間は欲深くて、幸せになりたいんだよ。
god only knows.
Happiness doesn't last long.
Also, the amount of happiness is fixed.
─変わらないものはない─
何に置いても、変わらないものはない。
簡単に言ったら、年齢や時間。
深く考えて言ったら、人生や愛情。
全てのものが、いつか何かへと変わって行く。
その変化は、それぞれ良いことであったり、
はたまた悪いことであったり。
どちらにせよ、それを受け入れるしか、方法はない。
─ゆずの香り─
家に帰り、「ただいま」と言う。
木霊したその言葉に対して、「おかえり」なんて返ってこない。
僕以外の人は居ないのだから。
今日は失敗ばかりだったな、と1日を振り返る。
洗濯物を取り入れるのを忘れて窓が開きっぱなしになっていたり、
会社で上司に怒られているのを同僚達に怪訝な見られたり、
何故か知らないが部屋は異様に汚れているし。
掃除する羽目になり、足腰が痛くなった。
しかし、朝用意していたゆずの香りの入浴剤を風呂にいれ、
優しく、何処か酸っぱい香りに包まれながら入浴した。
風呂を上がり、そのまま寝ようとした所、寝室から物音がした。
やっぱり泥棒が入っていたのか?と不安になりながら、
そっと扉を開けると、そこには一匹の黒猫が居た。
まるで元から住んでましたとでも言うように、
こちらを綺麗な碧色の目で見つめてくる。
お互いに沈黙が続いていた所、
猫が痺れを切らしたように、またベットで寝だした。
今気付いたが、ベットには無数の肉球の跡がついていた。
嗚呼、今日の夜は寂しくなさそうだな。
─冬は一緒に─
ふと見えた窓際の雪。
もうそんな時期か、と溜め息が漏れた。
雪の降る冬は嫌いだ。
寒いし、尚且つ良いことが全くない。
雪かきもしないといけないし、
車が雪に埋もれるし、
特に朝起きるのが辛い。
ただでさえ朝が弱いというのに。
…そういえば、今日はすんなり起きれた気がする。
確か、夢を見ていた。昔の、まだ楽しかった頃の記憶。
手を擦り寄せながら「寒いね」って、
「今年も、冬は一緒に過ごそうね」って笑った君。
付け加えて、「もちろん、来年もね」と言った君。
その頃はこれからも一緒だと思ってたんだけどな。
来年も、一緒に雪を見れると思ってたんだけどな。
君と、幸せで居られるって、信じてたんだけどな。