この世界は広い。
小さな小さな目に見えないもの達の世界。
自分、家族、親戚。友達、知人。
職場の人、コンビニの店員さん、すれ違う人々…。
名前のハッキリしない有名人。
遠くの場所の、なんてことないニュース。
近くにある森の木々。動物。
空、雲、太陽。
海、魚、月。
遠く遠く宙の果て、まだ知らない世界が広がっている。
どこまでも、どこまでも。
どの世界を選び取る?
小さな世界を見つめていようか?
手を伸ばして自分だけの世界を作ってみようか?
自分の世界を掴み取れるのは、自分だけ。
自分で選んで、掴んだ世界は、きっと眩しいだろう。眩しすぎて逃げ出したくなる時もあるだろう。
世界は変わっていくから、真っ暗になって飲み込まれてしまうかもしれない。
自分の世界を守れるのは自分だけ。
強敵と戦う用意はできてる。
この世界は広い。
さぁ、知らない世界を見に行こう?
どうして?
どうして?わたしはここにいるの?
どうして?あなたはここにいるの?
「どうして」という言葉を見たとき、まず浮かんだのは自分への叱責だった。
どうして?あの時辛抱できなかったのか?
どうして?あの時泣くことしかできなかったのだろう?
どうして?あの時贖うことを怠ったのか?
どうして?なんで?その理由は?
理由を求めることを咎められたときがあった。「なぜ理由を求めるのか?求め過ぎではないのか?」
「現象には必ず理由がある」どこかで聴いたうろ覚えのドラマの台詞が、自分は好きだった。何にでも理由が、「答え」あると信じていた。
「答え」を知りたくて、「どうして?」を繰り返していた。「答え」など、誰かが作り上げたニセモノの「なにか」かもしれないのに。
その人は言った。
「君は答えを用意された人生を歩んできた。だから自分で答えを見つけられない。」
自分にはこう聴こえた。
「守られて生きてきた人間に、答えなど見つけられないだろう?」
「ねぇ、どうして?」
「答え」は、自分で見つけるんだ。
夢を見てたい。
ずっと夢を見てることができたら、きっと幸せだ。自分の想い通りの夢。
いつからだろう?夢を見なくなったのは。
いつからだろう?夢が見えなくなったのは。
いつからだろう?
夢と現実が、離れて歩くようになったのは。
いつからだろう?
現実すら見えなくなったのは。
健やかに眠り、見る夢は虹色。
志を抱き、見る夢は白色。
いつか見た夢は何色だっただろう。
いつか見た夢は何色に染めただろう。
いつも見る現実は何色なのだろう?
自分は今、何色なのだろう?
夢の中だけは、想い通りの色で居させてくれませんか?
おやすみ。
ずっとこのまま
なんて、先のこと。考えたくないよ。
自分は今、変化の途中なんだから。
ずっとこのまま…の後に、今はマイナスの言葉しか綴れない。
きっと、今手にしているものは全て誰かのものだから。自分だけのものではない何かだから。
惜しみなく与えられる愛に溺れて、自分で息をすることを忘れた。疑問を持たなかった。自分で何かを得ることを放棄して、誰かが望む自分になることで満足していた。
誰かなんて、いつか、消えてしまうのに。
ずっとこのまま…の後に、プラスの言葉が綴れたら、きっと満たされているのだろうな。自分で得たものに囲まれて、揺るぎないなにかがそこにある。
望めば、辿り着ける、きっと。
寒さが身に染みて
身体から体温が抜けていく
身体が氷の結晶みたいになっていく。指の先が尖って、頬は水色のお化粧をしてもらった。
冷たい空気を大きく吸い込み、吐き出す息は魔法の白い煙。その気になれば全てを凍らせることができる。まだ、心臓は温かい。
生きている。
生きているんだ。
目を開けると、そこには穏やかに波打つ海と、雲ひとつない空が広がっている。カモメが、砂浜に足跡を付けて羽を広げる。
涙が零れ落ちて、風に乗ってどこかへ旅に出た。