たとえば、
地に落ちて
泥まみれの羽で
冷たい雨に打たれ震える時でも
綺麗な
綺麗な
綺麗な景色だけみていたい
目を見開いた先
灰色の空ばかりでも
目を閉じた時瞼に映るのは
鮮やかな
鮮やかな
鮮やかな永久の花園
そういう夢がいいの
そういう夢がいいの
そういう息を吐くの
「永遠の花束」
日陰者って
わかってるんだよ。
言わなくたって
わかってる。
日向にあこがれて
でもみているだけの
日陰者。日陰者。
近づいたら
追い出されてしまうんだろな。
資格なんてないんだものね。
罪人だから。罪人だから。
見下ろした自分。
まっくろな自分。
顔を上げた先
白く輝く日向達。
いいないいな、
ここは寒いから
ねえ、仲間に入れてよ。
服を分けてよ。
拒まないでよ。
焼けてもいいよ。
焦げてもいいよ。
灰になっても
踊っていたかった。
夢を見ていた、
白い夢を。
生まれながらに
日陰者。日陰者。
白に焼かれた日陰者たち。
「日陰」
まだ少し寒い晴れの日、
二人で海沿いを歩く。
少し先を歩くあなたの後ろ姿。
振り返って、今日、風が強いねと笑う。
太陽がまだ低くて、
朝の光がちらちらと波間に煌めく。
些細な日常が急に愛おしくなって
口元が緩んだ。
なんだか照れくさくなって
両手で帽子のつばを引き下ろして顔を隠した。
あなたが、どうしたの、という
なんでもないよといったけど、
不思議そうに見つめるあなたに
ああどうしよう、と思った。
風でワンピースのスカートが
バタバタとはためく。
波の音と、海のにおい。
すこし寝癖のついたあなた。
こんな日が続けばいいと
思ったいつかの日。
「帽子かぶって」
いやいやという
ちいさいあなたに
ちいさな麦わら帽子をかぶせた
いやなのね
すぐにとってしまって
あわれな帽子は床にたたきつけられた
制服着なきゃ、幼稚園に行かれない
20分後に出ないと間に合わないのに
あれもこれもまだ済んでないのに
ああ、ブレザーも脱いでしまった
おねがい、おねがいだから
帽子をかぶって!
子どもの頃、物陰に隠れて親を驚かせるのが大好きだった。隠れる場所はいつも決まって、玄関近くの竹やぶ。
いつも同じところから出てくる子どもの脅かしなんて、気が付かないはずがない。けれど、私の親、時には祖父母、彼らは律儀に驚いた振りをしてくれていた。
もうあの竹やぶに隠れられる大きさではなくなってしまったけれど、思い出たちが今も私の心を暖めている。
「わぁ!」
昔すごく好きな小説シリーズがあった。
あとがきで作者が亡くなったことを知った。
「終わらない物語」